気になる静岡県テレビ局アナウンサーを紹介する連載「静岡アナ 気になリスト」。静岡朝日テレビ橋本ありすアナ(31)です。情報番組「とびっきり!しずおか」(月~金午後4時45分)のMCで人気ですが、小学時代は子役で「お化け役」も経験していました。母親の助言で女優志望から転じ、アナウンサーになるまでを「その1」で紹介します。

 -子役をやられていたそうですね

 小6まで「劇団いろは」に所属して、えなり(かずき)君と一緒でした。稽古の時、横でストレッチしていた記憶がありますね。

 -NHKの朝ドラやフジテレビ系「世にも奇妙な物語」にも出演

 「君の名は」(91年)では、主役の鈴木京香さんが列車の中で出会う子供役だったんです。「うん」とか「はい」と言って、1話だけの出演です。「世にも-」(92年)では、日本人形のお化け役でした。筧利夫さんがテレビ局のディレクター役で、日本人形を撮りに行き、みんながチェックしたVTRに私が映っていて、「わ~、お化けだ」って。私を見るとみんな死んじゃうんです。フフフ。

 -女優さんになろうという気持ちは

 なりたかったですね。中高まで演劇部に入っていて。ただ、母親に「あんたは役者よりも、冷静にしゃべる仕事をしてみたら」と言われたんです。じゃあ、普通の大学に行って、将来の可能性を広げてみるかと。

 -その助言が、アナウンサー志望につながった

 そうですね。大学では「アナウンス研究会」に入り、3年の春からアナウンススクールに通い始めました。ただ、その年の8月に母親を亡くしまして、ガクっときました。でも、BS朝日の学生キャスターをやりながら、キー局は一通り受けました。

 -そこからローカル局などを受けて

 他の人ほどは受けず、他の業種も受けました。ブライダル、ホテル、百貨店などで、内定はホテルの会社からいただきました。

 -静岡朝日テレビの受験は、いつごろに

 4年生の12月です。後で聞いた話ですが、ニュースのキャスターを2人体制にすることになり、女性キャスターについては募集をかけることが、12月に決まったそうです。

 -ラストチャンスに懸けたんですね

 はい。結構、吹っ切れた気持ちでした。ただ、時間がなかったのか、1日で全部やったんです。面接、原稿読み、実技、筆記も。

 -面接での思い出は

 「大学のアナウンス研究会で、ラジオ番組作りに力を入れていました」と言ったら、「じゃあ、やってみて」と言われて。さわりだけやりました。「こんにちは。明治大学の橋本ありすです。私は今日、東京から新幹線でこちらまで来たんですけど、途中ちょっと寝てしまったんですよね。で、パッと目が覚めた時に、ちょうど新富士駅のあたりで大きな富士山が目の前に見えまして。『わ~。今日はいいことある』って思ったんです」。その後、面接官に「ちょっと暗い顔してますけど、たまには上を向いた方がいいんじゃないんですか? ということで、今日は『ちょっといいこと』でお届けしま~す」とか。

 -すごいですね。スラスラと。でも、静岡には縁がなかったんですね

 はい。それも聞かれて、「大丈夫です。骨をうずめるつもりで参りました」と。本当にこっちで結婚したので、実現して良かったなと思っています。

 橋本アナは、女手一つで育ててくれた母を大学3年で亡くし、縁のなかった静岡でアナウンサーに。入社後は即戦力で、4月から県内ニュースのキャスターを担当しました。「その2」は「仕事編」です。(つづく)

 ◆橋本(はしもと)ありす 1984年(昭59)6月26日、東京・世田谷区生まれ。明大政治経済学部卒業後、07年に入社。担当番組は「とびっきり!しずおか」。10年3月2日に社内結婚。趣味はプチ旅行など。血液型A。