一昨年1月に亡くなった歌手やしきたかじんさん(享年64)の妻、家鋪さくらさんが名誉を傷つけられたとして、たかじんさんの元弟子、打越元久氏に損害賠償を求めた裁判の控訴審裁判が28日、大阪高裁で開かれ、当初見込まれていた結審まで至らなかった。

 この日は、打越氏側の書類が完全にそろわず、結審は次回以降へ持ち越しとなった。

 裁判は昨年、さくらさん側が、ネットラジオ番組で打越氏の発言によって名誉を傷つけられたとして、慰謝料1000万円を求めて民事提訴。大阪地裁が、打越氏に300万円の支払いを命じる判決を下し、打越氏側が控訴していた。

 2月に控訴審初公判が行われ、この日が2回目。前回は、打越氏側が、作家百田尚樹氏の「殉愛」や、同書への反論メッセージになる「『殉愛』の真実」のコピー、週刊誌報道などの証拠も提出。打越氏の発言が「さくらさんの社会的評価下落」に直結するものではないと、主張していた。

 この日は打越氏側が追加の証拠書類などを提出し、さくらさん側が反論し、結審の流れとみられたが、証拠の一部がそろわず、次回へ持ち越し。さくらさん側は「現状のままなら1審判決が支持されると思う」と手ごたえを口にしつつも、結審が伸びたことで「何か他に(手だてが)あるのかとも、少しは感じた」と、警戒感ものぞかせた。