関西テレビ(カンテレ=大阪市北区)は18日、熊本地震を現地で取材していた中継車が、ガソリンスタンドで、給油待ちの車列に割り込んでいたと発表し、謝罪した。公式ホームページにも、謝罪文を掲載した。

 同社によると、17日午前7時45分ごろ、熊本県菊陽町のガソリンスタンドで給油待ち中の車列に、同社の中継車が割り込み、給油したという。中継車は全長5・1メートルで、1台だったといい、益城町保健センターで中継や素材送りのため、午前8時からスタンバイするため向かっていた。ガソリンが「半分程度しかなかったため」同スタンドで給油せざるを得なかったとした。

 スタンドはセルフ形式で、中継車はスタンドの対向車線側から進んできており、交差点をいったん右折。その先で車を転回させ、再び同じ交差点へ入り左折。「10台ほど並んでいた給油待ち車両の後ろにつけた」と説明した。

 この際、中継車に乗っていた同社スタッフは、給油待ちの車列が交差点をはさみ、続いていたことを「混んでいるな」と認識していたといい、車列で給油待ち中に女性から「割り込みですよ」と注意され、前席に乗車していたスタッフが頭を下げたという。

 ただ、このスタッフは窓ガラスを下げることもなく、声にして謝罪の言葉を発していないことから、同社は「謝罪にはなっていなかった」とし、「被災地の皆様が多大な労力を割いておられるなかで、あってはならない行為でした」と陳謝した。

 これを受け、同社はこの日、「お詫びとお知らせ」と題した謝罪文を発表。「九州で発生している大地震の取材にあたっていた弊社のテレビ中継車が、4月17日午前7時45分ごろ、熊本県菊陽町のガソリンスタンド付近で、給油待ちをしていた車の列に割り込んでスタンドに入り、給油していたことが判明いたしました」と、割り込みの事実を公表した。

 同社の中継車割り込みは、17日昼過ぎから、給油待ちの車列にいた地元住民と思われる人物らによって、インターネット上に複数の書き込みがあがった。内容は「ガソリン入れるために朝早くからたくさんの人が並んでたのに横入りされた」といったもので、中には中継車の画像つきでアップされたものもあり、17日午後になって、同社社員が書き込みを発見。確認作業を進め、事案が判明した。

 同社は、謝罪文に「現場で給油をお待ちになられていた皆様に、大変なご迷惑をおかけしましたことを深くおわび申し上げます。また、多くの皆様にご不快の念を抱かせてしまったことにつきましても、おわび申し上げます」と記した。

 今後の再発防止策について「このようなことのなきよう、取材にあたる社員・スタッフへの教育を、あらためて徹底してまいります」とコメントしている。