高校野球の伝説的指導者、徳島・池田高の蔦文也元監督のドキュメンタリー映画「蔦監督 高校野球を変えた男の真実」が5月14日~20日の1週間、大阪・十三の第七芸術劇場で“入場無料&カンパ上映”される。

 蔦元監督の孫で、同作監督の蔦哲一朗氏(31)が6日、大阪市内で取材に応じた。同氏によると映画の中で過去の高校野球映像を使用しているため、商業活動ができないという。「テレビ番組とかはいいらしいんですが…」。今回の上映期間となる1週間は大阪に滞在し、舞台あいさつを連日行い、カンパを募る。まさに利益ゼロの“手弁当活動”だが、すでに4月に東京、名古屋で同様の形式で上映。連日立ち見が出る盛況だったという。

 映画は2011年から5年間におよぶ取材から構成されている。取材対象は元巨人の水野雄仁氏、元南海、横浜の畠山準氏ら教え子、関係者ら。また、昨年2月に93歳で他界した夫人の蔦キミ子さんのインタビューも行った。回したフィルムは約90時間、過去の高校野球映像は約12時間分を精査し、2時間6分にまとめた。

 蔦哲一朗監督は「僕がじいちゃん(蔦元監督)のサクセスストーリーを撮っても仕方ない。孫だからこそできるものにしたかった。きれいごとで終わらず、蔦文也という人の本性を描きたかった。僕の中ではじいちゃんとばあちゃん(蔦キミ子)の“2人のレクイエム”のつもりです」という。「実際、じいちゃんのことをよく思っていない人がいたこともわかったし、そういう人の話も聞けました。親族チェックも受けて“あの話はやめて、その代わりこの話を使う”という作業もしました」と話した。

 なお、同作品は行政、企業、個人の上映会を募集している。問い合わせは映画「蔦監督」公式サイトからメールを出すか、ニコニコフィルム 代表蔦哲一朗電話090・8281・0653まで。