12日に多臓器不全のため、80歳で亡くなった演出家、蜷川幸雄さんの演出作「身毒丸」(95年)が初舞台だった俳優武田真治(43)は13日、大阪・シアターBRAVA!で、「スウィーニー・トッド」の初日(15日まで)を迎え、蜷川さんを「あんな情熱を持った人にはもう、出会えない」としのんだ。

 芸能活動をモデルからスタートし、90年ごろからテレビドラマで活躍していた武田は95年、蜷川さん演出作で、初めての舞台に臨んだ。

 「もうあのときには、僕も初舞台で、右も左も分からない状態で、それでもそのとき、すでに『蜷川さんのけいこ場は灰皿が飛んでくる』と聞いていたので、けいこ場は、とりあえず禁煙にしてもらった。なので、僕の時には、灰皿は飛んできませんでした」

 熱いけいこ場ではあったものの、要望は「割とすんなり受け入れてくれる人だった。言葉は悪いですが、かわいらしくて、おちゃめな方」と言い「ああいう情熱を持った人にはもう、出会えないと思う」と語った。

 この日の舞台は、俳優市村正親(67)と、女優大竹しのぶ(58)の当たり役ミュージカル「スウィーニー・トッド」。市村が敵討ちに燃える男を熱演し、思いを寄せる女を大竹。その大竹を慕う少年を武田が演じている。

 武田は「今年、44歳になるんですけど、それで子役ができる。今があるのは蜷川さんのおかげです」と感謝した。

 また、50歳で蜷川作品に初出演し、その後「ハムレット」で妻篠原涼子と共演した市村も「舞台は1回1回が違う生もの。こうやって、皆さまといい作品で対峙(たいじ)できることに感謝します。神様と、蜷川さんに感謝します。本当に感謝します」と話していた。