10月3日スタートの次期NHK連続テレビ小説「べっぴんさん」の収録が25日、神戸・異人館でスタートし、初日からヒロイン芳根京子(19)が“ママ”になった。

 赤ん坊を背負い、泣きだすと、足元をポンポン。自らは、後ろへ顔をやりあやす。すっかり“ママ”が板についた芳根は「こうやると、泣きやむんです」とニッコリ。安心した赤ん坊が眠ると「おんぶして、こうすると、すぐ寝ちゃうんですよ。もう、かわいくて! 癒やしのパワーがすごいです。元気になります」。曇天でのクランクインながら、晴れやかな笑顔でヒロインのスタートを切った。

 ドラマは、子供服専門店「ファミリア」の創業者をモデルにし、芳根演じるヒロイン坂東すみれが、戦前から戦後、高度成長期を生き抜き、子供を持つ母のために奔走する姿を描く。

 この日は、戦時中に出産したすみれが、赤ん坊用の粉ミルクを探していたところ、赤ん坊連れの外国人が集まっている邸宅を見つける場面などを収録。赤ん坊を抱いた演技は、クランクインからわずか2シーン目の場面だった。

 「始まって、もう2シーン目で赤ちゃんをおんぶしてたので、不思議な感じが止まらなかったんですけど、でも、赤ちゃんのおかげで、初日の不安も吹っ飛びました~っ!」

 この日まで1カ月以上、関西弁や刺しゅう、裁縫とともに、赤ん坊との接し方もけいこを重ねてきた。不安を抱えてのクランクインだったが、来年春まで続く長丁場の収録も、赤ん坊の癒やし効果で乗り切れそうだという。

 収録の合間には、赤ん坊を抱いて、待機するカメラマンの前に姿を見せた芳根。背中の赤ん坊を人形に変えた後には、カメラマンの前にまで寄ってきて、写真撮影に応じるオフショットのサービスも連発した。

 「今日は、すっごく気持ちが高まっているんですけど、ここで(気持ちを)止めちゃいけない。関西弁には苦労していますが、台本をもらって、方言指導のテープなしでも(関西弁で)台本になれるようになるのが目標です」と、気を引き締めてもいた。

 またこの日は、ヒロインの姉役の蓮佛美沙子(25)、ベビーナース役の谷村美月(25)らも収録に参加。蓮佛は「これから10カ月(の収録期間)は長いのか、あっという間なのか、想像もつかないですけど、鳥取出身なので、神戸は子供のころ家族で来た程度。異人館には来たことがなかったので、ラッキーと思って、おいしい物もありますし(ロケ合間に)楽しみたい」と笑顔を見せた。

 谷村も、大阪出身ではあるものの、異人館はあまりなじみがなかったといい「兵庫、神戸といえば、友達のお兄ちゃんが(出場した)甲子園へ見に行ったぐらい。満喫したいです」とテンションは高かった。