石原軍団が11日、熊本地震で大きな被害に遭った熊本県益城町で、「元気食堂」と名付けた炊き出しを開始した。同町総合体育館で俳優舘ひろし(66)らをはじめ、事務所関係者、ボランティアスタッフ計約100人が、カレー、豚汁、サラダ、おしるこなど約1200食を振る舞った。県内で5日間行われる予定で、延べ1万2000食を用意する。

 石原軍団はチャリティー活動に熱心なことで知られ、特に炊き出しは軍団名物。本震発生直後の4月16日、軍団を率いる渡哲也(74)の発案で炊き出しが動き始めた。しかし渡は昨年6月に急性心筋梗塞で手術を受けたため現在静養中。渡は舘に隊長を任命、「元気食堂」と名付け、自ら書いた看板を託した。舘は炊き出し開始前、スタッフに「渡に会いました。『皆さんと誠心誠意頑張ってください』とのことでした。僕らが差し上げられるのは元気だけ。その1点でお願いします」と呼び掛けた。

 この日は気温30度を超えた。舘は「いらっしゃい!」と声を上げ、高齢者に付き添い食事スペースまでトレーを運んだ。テント裏には軍団メンバーを少しでも見ようと、大勢の人が集まった。舘は、人垣の中で子供が泣いているのに気付き、「泣かないで~」と自分のヒット曲をワンフレーズ歌い沸かせた。宣言通り、元気をもらってもらうため動き回った。

 初日を終え舘は「思った以上に喜んでくれてうれしかった。来て良かった。時期が遅いかなと思いましたが、熊本のことを少しずつ忘れかけているので、今、来た意味があった。まだ昼夜とも弁当という方もたくさんいらっしゃったので、温かいごはんを提供できてよかった」と振り返った。前掛けには、小さな女の子から渡されたという折り紙で作った花束をはさんでいた。「ありがとうございます」と書かれた花束を見て「うれしいです」と感無量の様子だった。

 舘は最終日まで車中泊をするという。「寄り添う形で、炊き出しをしたいと思いました」と語った。神田正輝は大阪でのテレビ出演を終えて駆け付け、12日から本格的に参加する。ほかに宮下裕治、金児憲史、先月オーディションで石原プロ入りした神田穣、丞威(じょうい)が参加。徳重聡、池田努も、期間内に合流する。

 同町の中原千恵さん(70)は、自宅が小さな揺れでも激しく建物がきしむ損壊を受けており、一部損壊と診断された罹災(りさい)証明の再審査を要請中という。落ち着かない中だが、炊き出しで食事し「(軍団の)皆さんとても感じが良くて、全部おいしかったです。リフレッシュできました」と喜んだ。石原軍団の炊き出しは、11年4月に東日本大震災で被害を受けた宮城県石巻市で行って以来。【小林千穂】

<炊き出しアラカルト>

 ◆メニュー カレー、焼きそば、豚汁、みそ汁、野菜炒め、から揚げ、フライドポテト、フランクフルト、しょうが焼き、おしるこ、サラダ、ギョーザを日替わりで提供。

 ◆食事数 1日最大1700食で、5日間で1万2000食用意。

 ◆車両台数 10トントラック2台、10トン給水車4台(宝酒造が提供し2日間ずつ入れ替えで投入)、4トントラック3台、2トントラック2台、冷蔵車3台、マイクロバス3台、バン3台で計20台。7日に東京・有明港を出港し9日現地入り。

 ◆食中毒対策 10トン給水車は2日で車ごと入れ替え。サラダは冷凍車で提供スペースまで運び、3時間の内に配る。持ち帰り厳禁を徹底。