ゴジラの正体は、意外な人物? だった。東宝「ゴジラ」シリーズ最新作「シン・ゴジラ」(樋口真嗣監督)の初日舞台あいさつが29日、東京・TOHOシネマズ六本木ヒルズで行われ、モーションキャプチャーのゴジラの動きを担当した俳優が狂言師野村萬斎(50)だったことが明かされた。

 場内スクリーンに野村の姿が映し出され、「タイトルロール(主人公役)を担当させていただきました、野村萬斎です」とあいさつ。突然の発表に、場内はあっけに取られたように静まり返った。

 野村の起用は樋口監督のアイデアだった。2人は12年公開の映画「のぼうの城」で、野村が主演、同監督がメガホンをとって以来の付き合い。ある日、樋口監督が野村の狂言の会を鑑賞した際、人間ではないものを多数、演じていることにヒントを得て、オファーしたという。「狂言は、この世ならざるもの演目が多い。人がキノコを演じていたりする。こういう引き出しあるのかと思った。やるなら萬斎さんなら頼もうと思った」。

 まさかのゴジラ役オファーに、野村は「正直うれしかった。着ぐるみじゃないけど、関節、関節に印を付けて、動きを要約されて、出来上がるということだった。光栄に思った」と二つ返事で快諾したことを明かした。撮影はクランクイン前の昨年7月、極秘に行われた。全身タイツスーツ姿で、関節に多数のマーカーを付けての撮影で、樋口監督は「全身タイツという恥ずかしい格好を本人に許していただけるか心配だった」とジョークで振り返った。

 主演の長谷川博己(39)は、人づてに「野村さんは『僕はゴジラになってあいつ(長谷川)を踏みつぶせるの?』と言っていたらしい」と聞いていたといい、苦笑いした。それでも、どっしりと重厚感のあるゴジラの動きに、「東京で止まる場面は、萬斎さんらしい止まり方だなと思った。能というか、霊的な独特の日本の伝統芸能。オールメイドインジャパンだということを再確認した」と胸を張った。石原さとみ(29)も「海から現れて、ただ歩くだけなのに、切なくて苦しくて、なんなんだろうと思った」と、熱く感想を語っていた。

 ほか竹野内豊、高良健吾が登壇した。