26日に大腸がんのため72歳で亡くなったことが分かった、日本を代表するピアニスト中村紘子(なかむら・ひろこ)さん(本名・福田紘子=ふくだ・ひろこ)を悼む声が29日、共演者、後輩ピアニストらから相次いでいる。中村さんは国内外で3800回を超える演奏を重ね、クラシック界をけん引した。

 00年に中村さんが音楽総監督を務める浜松国際ピアノアカデミーに参加したピアニスト上原彩子(36)は「世界で通用するようにと全力でバックアップしてくれた。心強い存在でした」。4月に川崎市で行われた演奏会で指揮を務めた飯森範親氏(53)は「毎公演、全力を注いできたからこそ50年以上、第一線で活躍し続けられた」と語った。

 中村さんは幼いころから国内の音楽コンクールで優勝を重ね、65年にショパン国際ピアノコンクールで日本人初の4位入賞を果たし、最年少者賞も受賞。国内外での演奏活動で評価を確立させると同時に、カレーやコーヒーのCMで親しまれた。08年紫綬褒章、09年日本芸術院賞・恩賜賞。

 昨年1月に大腸がんであることを公表。活動を休止し治療に専念したが、今春復帰した。葬儀、告別式は近親者で行い、後日、お別れの会を開く。喪主は夫で作家の庄司薫(しょうじ・かおる)氏(本名・福田章二=ふくだ・しょうじ)。