上方落語のベテラン、桂ざこば(68)が15日、大阪市内で、兄弟子の故桂枝雀さんの長男で、今年1月に高座デビューをした桂りょうば(44)に対し、すでに亡くなった枝雀さんの名を出して「兄ちゃん(枝雀さん)に教えてもろたらええねん」と、盆らしい“珍指令”を出した。

 ざこばはこの日、大阪・サンケイホールブリーゼで、毎夏恒例の米朝一門会に出演し、2回公演の合間に、自身の「桂ざこば独演会」(9月18日、同所)取材会を開いた。

 りょうばが、9月の桂ざこば独演会で前座を務め「つる」を演じることから、昨夏から自らのもとに弟子で入っているりょうばに言及。「兄ちゃんも、ちょっと教えたったらええねん。僕なんか、ちゃーちゃん(師匠の故桂米朝さん)とか、枝雀兄ちゃんに教えてもろてるで」と語った。

 お盆とはいえ、怪談ではない。あくまで「夢」の話。ざこばによると「僕が悩んでたら、夢に出てきて教えてくれる」そうで、父とも慕った米朝さんは「ついこないだも会うた」らしい。ただし「内容? 覚えてへんわ…。忘れた!」と笑わせた。

 りょうばは東京でのバンド活動を経て、アマチュア落語家として活動。昨夏にざこばに師事した。

 今年1月7日、動楽亭で初高座に上がり、米朝一門恒例の「東の旅 発端」を演じた。体全体を使ったダイナミックな動き、豊かな表情、扇子を持つ指の角度が、父の枝雀さんにそっくりで、ざこばも「DNAはすごい」と驚いていた。ただし、最近では「ちっちゃい。兄ちゃんとは違うんやから、いっぺん、兄ちゃんのこと、忘れたらええ」と感じているという。

 その流れから亡くなった枝雀さんに「教えてもらえ」となったわけだ。そのりょうばには、一門の大きな会で高座に上がることから「変革」を期待。「大きなホールで(高座に)上がったら、なんか変わるかもしれへんな」と話した。

 また、自身は独演会で「へっつい幽霊」「強情」「遊山船」の3席を予定。いずれも米朝さんの持ちネタではない作品で「長いことやってへんのを選んだら、こうなった」と説明した。