「2016神宮外苑花火大会」が20日、東京・神宮球場などで開催された。主催する日刊スポーツ新聞社の70周年を記念した大会で、神宮球場では渡辺美里(50)らがライブを行った。約1万2000発が夜空を彩ると、ミュージカル「ミス・サイゴン」の出演者がアフターライブで締めくくった。来場者は4会場で計6万2000人、周辺を含め約37万人が夏の風物詩を楽しんだ。

 デビュー2年目の8月8日に、女性ソロ歌手として初めてスタジアムライブを行ってから30年目の夏。美里が球場に帰ってきた。20年続いた西武ドームでの恒例行事を終えて以来11年ぶり。待望したファンの多くが中年だけど、出足は早い。場外まで響くリハーサル音に合わせて口ずさむ列が続いた。AKB48ら若手をぬらす強い雨が降ると「あの夏の雨も強かった」と懐かしむ人もいた。

 登場直前に雨がやんだ。「サマータイム・ブルース」で始まると「みんないた夏」「太陽は知っている」と夏のナンバーがちりばめられた。「10years」「My Revolution」で青春を思い出させ、西武ドームでも最後を飾った「夏が来た」を歌い終えると、花火が打ち上がった。

 フルオーケストラとのライブを各地で行っているこの夏、バンドスタイルで汗を流す神宮のステージを楽しみにしていた。高校時代、花火大会といえば神宮外苑に足を運んだ。楽しかった夏の思い出。だから、今度は大輪に自分の歌声を添えたかった。「西武球場の20年が神宮花火の序章だったみたいね」。花火を見上げた美里の興奮が、ずぶぬれの観客への何よりの贈り物だった。

 ◆神宮外苑花火大会 1980年(昭55)にスタート。神宮球場を本拠地にするヤクルト戦で打ち上げられる花火をヒントに、明治神宮外苑と日刊スポーツ新聞社が企画した。以後、近隣住民の協力と理解を得て、当社主催で毎年実施し、隅田川、東京湾と並ぶ「東京3大花火」と呼ばれた。THE ALFEEを迎えた88年から本格的な音楽ライブも行うようになった。