プレーバック日刊スポーツ! 過去の8月23日付紙面を振り返ります。2003年の1面(東京版)は、久米宏氏がニュースステーションのキャスターを降板し、後任に古舘伊知郎氏が決まったことを伝えています。

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 テレビ朝日「ニュースステーション」の久米宏キャスター(59)が9月で同番組を降板することが22日、分かった。古舘伊知郎(48)が後任を務める。久米氏は99年に1度降板を考えたが、テレ朝の懸命の説得に折れる形で続投。今年9月に同局が新社屋に移転するのを機に降板を決めた。週明けに正式に発表される。久米氏は18年間にわたり「ニュースステーション」キャスターを務め、分かりやすいニュース解説や辛らつなコメントで高視聴率を獲得、報道番組に革命を起こした。

 久米氏の「ニュースステーション」降板は、週明けにテレビ朝日から正式発表される。同番組は9月29日に東京・六本木ヒルズの新しいスタジオで放送をスタートさせるが、ここから古舘が新キャスターとして登場する予定。久米氏は8月25日放送から夏休みに入る。そのまま番組を降板するか、降板前にいったん復帰するかは微妙だ。

 久米氏はこれまで、何度か降板を同局に申し入れてきた。そのたびに強く慰留され、契約を延長してきた。99年10月6日、番組放送中に「私の出演は本日まで。長い間ありがとうございました」と契約切れを理由に降板を宣言し、休養に入った。同局は契約条件の見直しなどを申し入れ、強く説得した。同番組の制作にも携わる所属事務所も、久米氏に対して再考を求めた。

 最終的に、同局側の「新社屋移転まで、何とか番組をお願いしたい」という強い要望に応える形で、再契約した。降板宣言から90日ぶりに復帰した際、ヒゲをたくわえた姿で登場し、世間を驚かせた。同局は、久米氏を説得する一方で、この時点から水面下で後任探しを始め、古舘との交渉も行っていた。

 来年7月に60歳の誕生日を迎える久米氏は、周囲に「60歳になるまでに、仕事に関して一区切りつけたい」と漏らしていた。同局側も、長年にわたる番組への貢献や、久米氏の気持ちを尊重し、新社屋移転というタイミングで降板を受け入れることを決定した。久米氏は降板後、しばらく休養した後、新たな形でキャスターを務める可能性が高い。「ニュースステーション」のような帯番組ではなく、週1回のレギュラーや単発のスペシャル番組に出演するとみられる。

 この日の放送では番組中に久米氏が作業服を着て、新スタジオの工事をしているような映像を紹介するなど、番組のリニューアルをアピールした。

 久米氏からバトンを引き継ぐ古舘は今年7月、同局「世界水泳」中継のキャスターを務めた。北島を「平成のド根性ガエル」と表現するなどユニークな実況で話題を呼んだ。古舘の新キャスター就任と同時に、番組構成や出演者も一部リニューアルされる可能性は高い。18年間にわたり、民放の報道番組をリードしてきた同番組が、久米降板を機に新しく生まれ変わる。

 ◆久米宏(くめ・ひろし) 1944年(昭19)7月14日、埼玉県生まれ。早大政治経済学部卒業後、67年、TBSにアナウンサーとして入社。「料理天国」「ザ・ベストテン」など、軽快なしゃべりとスタイルのよさなどで人気を得た。79年に独立。85年10月からテレビ朝日「ニュースステーション」のメーンキャスターに起用された。家族は妻でスタイリストの麗子さん。

※記録や表記は当時のもの