今年1月、SMAPのプロデュースを手掛けてきた女性マネジメント室長I氏が退社した。これに追従し、独立を画策した中居正広(44)稲垣吾郎(42)草なぎ剛(42)香取慎吾(39)と、ジャニーズ残留を決めた木村拓哉(43)の対立が、最終的にグループを解散させた。では、仕事相手だった芸能事務所関係者らは、どう見ていたのだろうか?

 SMAPをデビュー時から見てきたあるベテランの芸能事務所社長は「この15年間で、木村さんとほか4人の人生の価値観は、全く変わっていった。致し方ないこと」と指摘する。木村は、00年に工藤静香(46)と結婚。2児の父の顔も持つ。

 1月に、4人は1度はI氏と一蓮托生(いちれんたくしょう)の道を選んだ。ただ、木村には守るべき家族がいた。1度は恩人I氏との独立も考えたが、妻とも話し合った上で残留を決めたとみられる。「所帯持ちの男として、残留はまっとうな判断だよ。ジャニーズの後ろ盾がなくなった瞬間に、プライバシーも保障がなくなる。独立した瞬間から、子供の写真をさらされたりする危険性も出てきていた」と説明した。

 大手芸能事務所の所属だと、個人事務所よりも収入は低い場合も多いが、その一方で安定的な私生活や仕事が保障される。「木村さんのような成功者なら、なおさらお金よりも、家族の安全な生活を優先するのは当然でしょう。ただ、独身の4人に、その価値観を理解してもらうことが困難なのも、仕方がない。どちらが正しいという話ではない」と話した。

 某芸能事務所社長は、さらに付け加える。「SMAPにとってI氏は確かに大恩人だが、そもそもジャニーズ所属だからこそ、成功したのも事実。SMAPに限らず、苦楽を共にした事務所を独立して、その後も同じように成功し続けたタレントは、極端に少ない。芸能界は全体として、そもそもの独立構想が、間違っていたと考えているよ」。

 ジャニーズ事務所が、独立したタレントの活動を妨害することは決してない。ただ、ジャニーズの仕事相手らが忖度(そんたく)や自主規制をして、独立したタレントを起用しづらくなることはある。いい悪いではなく、それが現在の日本の芸能界でもある。

※なぎは弓ヘンに前の旧字の下に刀