来年4月30日付での退団を発表した宝塚歌劇団宙組トップ娘役、実咲凜音(みさき・りおん)が24日、兵庫県宝塚市内で会見し、目に涙を浮かべ、仲間や先輩、ファンに感謝した。

 「この10年…あっという間でした。必死にここまでやってきて…でも、仲間や上級生の方、ファンの皆さまがいたから…。しみじみ感じています…その思いを…」

 来春、宝塚音楽学校に入学してからちょうど10年で、劇団に別れを告げる。この思い出を問われ、実咲は涙で声を詰まらせながら振り返った。

 実咲は07年に入学、09年に入団した95期生。礼真琴(星組)柚香光(花組)ら、男役では未来のトップ候補が多い95期の中で、娘役の中では首席で入団した。花組に配属され、2年目で新人公演ヒロインに抜てき。12年に宙組へ移り、同7月にトップ娘役就任。前トップ凰稀かなめ、現トップ朝夏まなとの相手役を務め、4年9カ月の主演娘役をまっとうする。

 「凰稀さんの相手役をさせてもらっていたときは、右も左も分からず、宝塚の娘役としてたくさん学ばせていただいた。『一緒に並んでほしい』と言われ、ただただ走ってきた」

 昨年3月からは、朝夏の相手役。同じく花組から移ってきた朝夏とは、花組時代にもコンビを組んでおり「いつも大きく、支えていただいた。まさか宙組に来て、ご一緒できるとは…驚きました」と、笑みももらした。

 朝夏とは、来年の退団公演まで全6作を組み、思い出は、その朝夏のトップお披露目だった「TOP HAT」。朝夏と初めてトップコンビを組み「イギリスを舞台にした楽しい作品で、おけいこ場も充実していて、本当に楽しかった」と語った。

 退団については「主演娘役(トップ娘役)を言われたときから、意識はしていましたが、肌で感じたのは『王家』のときでした」。朝夏との本拠地お披露目だった「王家に捧ぐ歌」で、ヒロインのアイーダを演じているとき、卒業を考え始めたという。

 朝夏には昨年末、退団の意向を相談し「私の思いを受け止めてくださった」と感謝。入団時からの悲願だった「エリザベート」の公演も、今月22日に兵庫・宝塚大劇場公演の千秋楽を迎え、退団発表にいたった。「幸せで、充実感があふれて、本当に幸せだなと、あらためて感じながら、演じていました。最後まで、1日1日を大切に務めたいと思います」と口にすると、表情を引き締めた。

 「エリザベート」の東京宝塚劇場公演は9月9日からスタート。今後は、専科で劇団理事、轟悠の相手役を務めて「双頭の鷲」(11月22日~12月3日=兵庫・宝塚バウホール)でヒロイン。退団公演となる来年2月3日に兵庫・宝塚大劇場で開幕する「ミュージカル・コメディ 王妃の館」「スーパー・レビュー VIVA!FESTA!」へ向かう。実咲は、同公演の東京宝塚劇場千秋楽となる同4月30日付で退団する。

 また、退団後の予定は「今は宝塚のことで頭がいっぱいで、本当に何も考えていないんです」と話していた。