女優でタレントの十勝花子(とかち・はなこ)さん(本名加藤恵子=かとう・けいこ)が21日午後4時6分、大腸がんのため都内の病院で死去した。24日に親族が公表した。70歳だった。

 長女服部令子さんによると、十勝さんは7月に入って体調不良を訴えた。検査の結果、同24日に末期がんで余命半年と告知され、8月1日に入院。病床では「私は明るいがん患者」と冗談を飛ばすこともあった。同19日から抗がん剤治療を始めたが、21日に容体が急変、そのまま帰らぬ人となった。最期は令子さんがみとった。既に録音を終えたCDのプロモーションを本格化させようとした矢先のことで、令子さんは「本当に急で驚いています」。葬儀・告別式は24日、都内で親族のみで済ませた。

 十勝さんは66年に歌手デビュー。71~72年放送のTBS系ドラマ「なんたって18歳!」では、岡崎友紀演じる主人公をいじめる先輩を好演して人気者に。その後も多くのドラマで個性的な役を演じた。一方でエッセー執筆などマルチに活動した。歯に衣(きぬ)着せぬ奔放な発言は「花ちゃん節」と呼ばれ、99年には元プロ野球ヤクルト監督野村克也氏の妻沙知代さんと、女優浅香光代の名誉毀損(きそん)をめぐる舌禍に加わり話題になった。

 00年12月にジョギング中に交通事故に遭い、脳内出血で手術を受けた。3度の結婚を経験するなど、波瀾(はらん)万丈の人生だったが、明るいキャラクターで愛され、晩年は動物愛護活動に尽力していた。

 ◆十勝花子(とかち・はなこ)1946年(昭21)4月25日、北海道生まれ。愛称トカチン。66年に歌手デビュー。岡崎友紀主演の71年TBS系ドラマ「なんたって18歳!」出演を機に女優としても活躍。03年エッセー「イカの足三本」が文芸春秋「ベストエッセイ」に収録されるなど文才も発揮。81年にアクセサリー会社重役の加藤隆さんと結婚。156センチ。血液型A。趣味はマラソン。