ロックシンガー、ダイアモンド☆ユカイ(54)が25日、大阪市内で、ミュージカル本格初挑戦となる「ミス・サイゴン」について取材会を開き、「雷に打たれた衝撃」と、その“出会い”を語った。ユカイは、狂言回し的役割のエンジニア役を市村正親、駒田一と交代で演じる。

 公演は10月19日に東京・帝国劇場で開幕。岩手、鹿児島、久留米を回り、12月30日~来年1月15日に大阪・梅田芸術劇場、同1月19~22日の愛知県芸術劇場で千秋楽を迎える。

 ユカイはもともと、ミュージカルを「歌の題材になるかな」と思い、プライベートでよく見ていた。たまたま、前回上演された一昨年に同作も観劇。ベトナム戦争末期の米兵とベトナム人少女の出会いと別れを軸に、争いにほんろうされる人々の悲劇を描いた大作に心を打たれた。中でも、ドラマを進行する役まわりのエンジニア役に「これ、おれじゃん! ダイアモンド☆ユカイそのものだ」と衝撃を受けたという。

 エンジニアが歌う場面は、さらに心に響き「なんじゃ、これは! と、雷に打たれちゃって」。同役をやりたいと痛切に感じ、今回上演にあたってのオーディションを受けた。「歌うのはまあ、表現することにかけて自信あったけど、演技はちょっと…何より、ダンスが一番自信なかった」と言うものの、合格し、エンジニア役に決まった。

 「ダンスが全然、おれ一番苦手だから。最初はストレッチから始めました。体、ガチガチで。今でもかたいけど(笑い)。50肩とテニスひじ抱えて、なんとかやってます」

 すでにけいこも始まり、初演から25年演じ続け、今回で卒業を決めている大先輩の市村、前作から経験者の駒田とともに、エンジニア役を作り上げている。

 ユカイは、エンジニアを役代わりで演じる3人を個性的に表現。市村を「お手本の長男」とし、駒田は「優秀な次男」。自らは「一番、デキの悪い三男」と表した。ただ、その長男、市村から「ユカイちゃんは、雰囲気いいから」と言われたことで、吹っ切れた。

 「そうなんだよ、おれ、いまさら、20年も30年も演技してきた人のように芝居はできない。雰囲気だよ、雰囲気で(勝負すれば)いいんだ」と思い、けいこに励む日々だ。

 あこがれの作品で、本格ミュージカルに初挑戦するが「別にミュージカルスターに転身するわけじゃないよ」と笑わせつつも、真剣そのもの。ユカイは「ロックなエンジニアを表現していきたい」と話していた。