プレーバック日刊スポーツ! 過去の9月30日付紙面を振り返ります。1998年の文化・芸能面(東京版)はSMAP緊急会見 グループの解散を否定でした。

 ◇ ◇ ◇

 人気グループSMAPが夏のコンサートツアーの東京ドーム公演初日となる29日、東京・文京区の同会場で会見を行った。5人そろっての会見は約2年ぶりで、100人以上の取材陣が集まった。同会見は一部で木村拓哉(25)の独立と解散報道が繰り返されているためで、冒頭でリーダーの中居正広(26)が解散をきっぱり否定。木村も独立のうわさを一蹴した。中居は「SMAPは力尽きるまで続けたい」と宣言していた。

 5人は笑顔を振りまきながら、黒のスーツ姿で東京ドーム・一塁側ブルペンに設置された会見場に姿をみせた。メンバー全員そろっての会見は96年末に行われたフジテレビの正月ドラマ「僕が僕であるために」以来2年ぶりで、「何か特別な発表でもあるのでは」と100人を超える取材陣が集まった。

 メンバーの発言を興味津々で待つ取材陣を前に、中居が「SMAP結成から今年4月で10年になりました。僕たちはダッシュではなくゆっくりと歩いてここまで来ました。力尽きるまでやっていきたいと思っています。ファンの皆さんも、ゆっくり、ゆっくりついて来てくれれば」ときっぱり話した。ここ数年、SMAPの夏のコンサートが終わるたびにささやかれ続けた解散説を、リーダーが自ら否定した。

 中居はこれまで口ぐせのように「SMAPを愛している」と強調してきた。この日も「メンバーは特に仲がいい、特に仲が悪いというわけではないが、しゃべらなくても不自然な空気も流れないし、自分のペースで一緒の時を過ごせる。だれ一人、不愉快な人はいないんです。この5人が同じメンバーでいられることに、神様に感謝したい。これからも一緒に(仕事を)できることを幸せに思います」と話した。

 SMAPがブレークし、個人活動が活発になる中、5人そろっての仕事はフジテレビ「SMAP×SMAP」(月曜午後10時)と、コンサートだけとなった。それだけに、夏のコンサートツアーはメンバーにとって、ゆっくりと食事をしながら時間を持てるリラックスの場になっている。草なぎ剛(24)は「一人での活動より、メンバーと一緒にいると精神的に楽になります」。

 10月には稲垣吾郎(24)、木村、草なぎが新ドラマに出演し、中居、香取慎吾(21)のバラエティー番組も始まる。中居は早くも「来年のコンサートも絶対にあります」と宣言しており、SMAPのメンバーの活躍はこれからも活発になりそうだ。

 SMAP解散説の元には、木村拓哉の独立問題がある。2年前に木村が初の個人写真集を発表したころから、そのうわさが流れるようになった。同写真集の制作に木村が所属するジャニーズ事務所がタッチせず、木村の親族がかかわっていたからで、「木村は個人事務所を設立し独立する」「大手プロダクションに移籍する」などのうわさがまことしやかに流れた。

 木村の人気は絶頂で、まさにドル箱だ。獲得したいプロダクションも数多いのは事実だ。しかし木村を抱えているジャニーズ事務所は、多くの所属タレントを毎日テレビのブラウン管に登場させ、数多くのレギュラー番組を持たせる力を持っている。テレビ局、アイドル本を中心にした雑誌、CM業界には、まさに絶大な影響力を持つ。木村をはじめ他のメンバーも、自分たちの人気を支えているのは何なのかを、そしていま何が得策かを考え、理解しているのだろう。

 しかしジャニーズ事務所の所属タレントは、例外はあるが、10代から20代前半までが「旬」で、その後は卒業していく。あるグループが卒業すると、次の若いグループがデビューし、時代を築いていく。NO・1に君臨した光GENJIでさえ、7年でついに解散した。世代を超えてジャニーズタレントが支持されているのは、この大いなるワンパターンがあるからだ。

 SMAPにも必ずその時が来る。大人になった木村をはじめメンバーはその時が来たら、自らの意思で選択するだろう。その時は間違いなくやってくる。ただ、今はその時でない、ということだ。

 ◆SMAP 1988年(昭63)4月に結成。リーダーの中居正広(1972年8月18日生まれ、血液型A)、木村拓哉(1972年11月13日生まれ、血液型O)、稲垣吾郎(1973年12月8日生まれ、血液型O)、草なぎ剛(1974年7月9日生まれ、血液型A)、香取慎吾(1977年1月31日生まれ、血液型A)の5人組。現在、単独、グループ活動を合わせ、テレビ、ラジオで18本のレギュラー番組を持つ。「夜空ノムコウ」は180万枚を売り上げ、11月6日に新曲「朝日を見に行こうよ」を発売。今回のツアーは7月21日の仙台公演からスタートし、全国8カ所、22公演を行い58万人を動員。コンサートの製作費は25億円だった。

 ※記録と表記は当時のもの