プレーバック日刊スポーツ! 過去の9月25日付紙面を振り返ります。2013年の芸能面(東京版)はTBS系連続ドラマ「半沢直樹」の22日放送の最終回視聴率が、42・2%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)を記録したニュースでした。

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 俳優堺雅人(39)主演のTBS系連続ドラマ「半沢直樹」の22日放送の最終回視聴率が、42・2%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)を記録した。11年日本テレビ系「家政婦のミタ」最終回40・0%を抜き、今世紀最高のドラマ視聴率となった。関西地区は45・5%で歴代民放ドラマ1位。この日朝、収録で使った東京・神田錦町の学士会館で吉報を受けた福沢克雄監督(49)は、続編の映画化を熱望。同局内では続編ドラマ制作の声も上がっており、早ければ来年にも、半沢が帰ってくる。

 福沢監督と伊与田英徳プロデューサーらは午前8時半すぎ、クライマックス場面を収録した学士会館201号室前にいた。毎週日曜放送の視聴率が判明する翌日月曜朝、2人は毎週、同会館にいた。月曜朝は同会館での収録が多く、視聴率の連絡は毎週ここで受け取った。ドラマ収録が終わったこの日も同じように「儀式」は続いていた。今回は放送翌日が祝日で火曜朝集合となった。福沢監督は白のポロシャツにショートパンツ、サンダル。験を担いで服装もいつもと同じで福沢監督は「パンツも同じです」。

 午前8時44分、TBSから電話が入った。伊与田氏が叫ぶ。「42・2!」。拍手が起こり「やった!!」「ビールかけじゃないですか」と歓喜の声が上がった。「家政婦のミタ」超えが注目されていたが、結果は2・2ポイントも上回った。「ミタ」超えどころか、今世紀のドラマ最高視聴率となった。

 福沢監督は「うれしいけど、うれしいのか、怖いのか…」。視聴率が上がるたび、重圧も大きくなった。それでも原作を書いた作家池井戸潤氏の関係者と出版社関係者が花束を持って現れると「うれしいなあ」とホッとした表情を見せた。「数字を狙わずつくったことが良かった。最初は『最終回20%取ろう』と言っていたくらいでしたから」。

 視聴率上昇とともに福沢監督自身も注目された。福沢諭吉の子孫で慶大時代は日本代表にも選ばれ、日本選手権優勝も経験したラガーマン。少年時代に見た「スター・ウォーズ」の衝撃が忘れられず映画監督を目指した。お手本は黒沢明監督作品。TBSでドラマ「砂の器」「華麗なる一族」などヒットドラマを演出。08年「私は貝になりたい」で映画監督デビューを果たした。

 ドラマの視聴率低迷が指摘される中、驚異的な記録だ。今世紀に入り、視聴率40%以上の番組は「国民的行事」ばかりで「半沢直樹」も肩を並べた。最終回の結末は、処遇への怒りをにじませる半沢の表情が印象的だった。期待が高まる「半沢直樹」続編について、福沢監督はこの日、「半沢の真骨頂は次(小説『ロスジェネの逆襲』)の作品。出向になり仕事とは何かを問い、はい上がっていく。映画向きだと思います。いろんな方の話を合わせないといけませんが、個人的にはやりたい気持ちでいっぱいです」と映画化に向けた意欲を示した。同局内ではスペシャルドラマも含めた続編ドラマ制作を推す声も上がっている。早ければ来年にも「半沢直樹」がスケールアップして帰ってくる可能性は十分にある。