テレビ界のアカデミー賞と称されるエミー賞を受賞した、米国のリアリティー番組「Born This Way」の出演者、アッシュモア・英玲奈さん(29)が26日、川崎市で日刊スポーツの取材に応じ、喜びを語った。

 同番組は南カリフォルニアに住むダウン症がある若者7人が、友情や恋愛を通して成長する姿を追ったドキュメンタリー。シーズン1(全6話)は昨年12月に始まり、最終回の視聴率は初回に比べ83%上昇した。今年6月にはテレビアカデミー賞を獲得。翌7月にはシーズン2が始まり、今月、エミー賞を受賞し、世界中で注目度が高まっている。

 日本人の母とオーストラリア人の父を持つ英玲奈さんは、エミー賞授賞式の時の心境を日本語と英語を織り交ぜて語った。「大興奮した。こんな素晴らしいことはない。ぜひ、日本の方にも番組を見てもらいたいです」。

 今回は祖母に会いに約5年ぶりに来日した。親戚がいる高知にも行き、ちりめんじゃことそぼろご飯が好物になった。川崎市生まれだが、生後8カ月からオーストラリア、英国などの海外で生活。02年から米ロサンゼルスで暮らし、現在はグループホームで生活している。

 自分のダウン症については「弟(24)のように普通になりたい」と言う。「普通とは?」と聞くと「分からない」と返答した。母広美さんによると、「ダウン症の英玲奈」と形容されるのが嫌いで、また、成人しても自立したいけどできない葛藤があると代弁する。

 感情が豊かで、喜怒哀楽がはっきりしている性格だ。シーズン1が終了し、監督から「その感情を詩に表してみたら」と提案され、それ以降、詩を趣味としている。ポエムノートを持ち歩きし、その時々の思いをつづっている。将来の夢は「詩人、ダンサー、歌手、起業、スムージー屋で働く…」などさまざまだ。米国は日本に比べ、特別支援が必要な方への環境が充実している。幼少期から言語、理学療法などを無料で受けられ、学校も健常者と同じキャンパスで学ぶなど「共存」の場がある。「いつかは生まれ故郷の日本で生活したい」。それが、英玲奈さんの今の願いだ。