5日に亡くなった吉本新喜劇の名脇役、井上竜夫さん(享年74)のMBSテレビ追悼特番「天国におじゃましまんにゃわ」(13日午前10時25分)の収録内容が12日、発表され、先輩役者の桑原和男(80)は「メリハリがあって、あったかくて。風格のあるお父さん役やった」と、しのんだ。

 番組は11日深夜、井上さんの本拠地だった大阪・なんばグランド花月で収録。桑原のほか、内場勝則、辻本茂雄、川畑泰史、すっちーの4座長や、ベテランの池乃めだからも参加し、なつかしの映像を見ながら、思い出を語った。

 映像は、井上さんの学生時代や、20代の写真、「おじゃましまんにゃわ~」「三途の川や~」など、代表的なギャグ場面などが流された。

 井上さんは、若い頃から老け役を自分の任と決め、演じてきたが、30代までは老け役以外を演じることもあった。桑原は当時を振り返り「若い頃の父親役は本当に良かった。メリハリがあって、あったかくて。風格のあるお父さん役やった」と、その演技力の高さを惜しんだ。

 また、収録に参加できなかった座長の小籔千豊(43)は「本当に悲しくて残念。僕にとっては大切な言葉をいただいた人」とコメントを寄せた。

 小籔はコンビを解散し、新喜劇へ入団2年目のころ、悩んでいると、井上から呼び出されたという。

 「長いことやっていると、あの時、もう少しこうしていれば良かったと後悔することがある。小籔君は後悔しないように、好きなことをやりなさい。思っていることをやった方がいい、期待してる」

 井上さんからこう言われたことで、小籔は「僕の芸人としての方向性が決まった。恩人です」と話し、心から感謝している思いを吐露した。

 また、テレビ番組で井上さんをネタにしたことにも「すべらない話で話題にしたことを報告した時も、喜んでくださった。そんな笑顔も、もう見られない。竜じぃを知る人に、いろんなところで竜じぃのことを話してもらえれば…」と語った。