上方落語協会の桂文枝会長(73)は21日、大阪市北区の同協会会館で、神戸に定席「第2の繁昌亭」を設ける計画について協会員256人から賛成多数を得たとして今後、正式に開場へ向けて動くことを明らかにした。

 文枝会長は「若手の落語家に話ができる場を増やしたい」として、ここ数年来、大阪の天満天神繁昌亭にならった“神戸繁昌亭”の開設に動いてきた。

 ただ、大阪の繁昌亭は大阪天満宮から駐車場を借り受け、地元商店街の多大な協力があって実現したもので、神戸の場合は、兵庫県や神戸市など行政側との折衝が長引き、肝心の若手落語家らの間では開場へ向けての慎重論も上がっていた。

 その最中、今年5月になって兵庫県と神戸市が施設建設費の一部を支援する方向で合意。開場候補に決まった神戸・新開地の地元側からも街の復興も兼ねてのオファーが強くなり、文枝は6月、役員新体制の会見時に神戸新定席について言及。9月をメドに協会員全員の意見をはかりたいとしていた。

 この日、神戸新定席への賛否を問う臨時総会を開き、不在者投票も含めて賛成多数で今後、実務的にも開場へ動くことが決定。文枝は「新開地からの熱意も感じますし、心配しておりました若い者が『やりたい』と声をあげてくれました。賛成をいただきましたので、これから進めていきたい」と話した。

 また、弟弟子にあたる桂きん枝副会長(65)が、神戸新定席へ向けては担当役員の立場で指揮をとっているが、建設準備委員会(通称)の委員長として、文枝の妹弟子で、神戸出身の桂あやめ(52)が中心になって、協議を進めていくことも確認された。

 あやめは「やっと、皆の賛同を得て、話を進められる段階になったということですので、実際に開場までは最低でも2年はかかると思います」と説明。運営などに関わる費用の負担割合など詳細は今後、兵庫県や神戸市、地元の新開地側と協議を重ねていく。