細田守監督(49)と是枝裕和監督(54)が26日、東京・六本木で行われている東京国際映画祭で、トークショーを行った。

 同映画祭では「映画監督 細田守の世界」なる部門を設けており、代表作「おおかみこどもの雨と雪」「バケモノの子」「サマーウォーズ」「時をかける少女」など、多数の作品が上映されている。トークショーは、細田監督が親交のある是枝監督を招く形で行われた。

 2人は互いの作品を「是枝作品は、父親が不在のものが多い」「細田作品は、父親の存在を他の者が埋めている」などと分析しあった。

 中でも細田監督は、是枝監督の作品について「男の子が出てくる率が高い」と傾向を指摘。その理由を聞かれた是枝監督は「女の子のほうが大人。オーディションに来た時点で、女優になろうという子が大半。男の子は、友達が欲しいとか、お姉ちゃんがやってるから、とか。(オーディションに来た男の子に)『座って』って言って『なんで?』と言われると、コイツ撮りたい、苦労したい、と思ってしまう。僕はそういう子どもじゃなかったから、取り戻そうとしているのかな。手に負えない子どもに憧れを感じているのかも」と、自身の幼少期に重ねて分析した。

 その是枝監督は、今年5月に公開された「海よりもまだ深く」について「自分の生まれた場所(町)で撮影するとは思っていなかった。(樹木)希林さんから、僕の母親が持ってたものを持ってきてくれと言われて、老眼鏡を持って行ったら『これ使いたい』と言われて。自分が暮らした場所と母親のメガネが映画の中にあることで、自分が描いたものに近いモノができた。原風景に立ち会うことができたというか」と、作品作りで味わった体験を語った。

 また、現在制作中の作品について、是枝監督は「違う話書こうと思ったけど、書いてたらまた、父親がいない話になってたんだよね」。細田監督は「僕はおかげさまで、脚本が決定稿になりまして。父親は出てきます」と笑わせた。