元女優高樹沙耶(本名・益戸育江)容疑者(53)の大麻取締法違反容疑での逮捕により、過熱する報道のあり方や、医療用大麻の是非など、大麻をめぐる議論がネット上でにわかに活発化している。

 ホリエモンこと実業家の堀江貴文氏は25日にツイッターで「日本って法律に書いてある事破ると倫理的に悪いことしてるみたいに思われるよね。戦前は合法だったのに。。」とコメント。これに対しネットユーザーからは「完全な政治課題ってことですね。規制緩和できれば1兆規模の経済効果も夢ではないかもしれないのに」「酒やタバコもドラッグの分類で大麻より悪質なもの(特にお酒)が跳梁跋扈(ちょうりょうばっこ)しているのに」といった同調意見もあるが、一方で「それ言い出したら銃刀法も弁護できるかなあ?」「その論理で行くなら、覚せい剤も戦前は合法だったよな」と反論も寄せられた。

 米カリフォルニア在住の映画評論家、町山智浩氏はツイッターで「大麻が酒やタバコよりも中毒性がないのは医学的に証明されたので、全米各州で解禁されているのです」と説明。「私はカリフォルニア在住なので大麻を吸っても合法ですが別に好きでないのでやりません」とした上で「にもかかわらず日本での大麻所持への断罪に反対です」「他人に害のないことを犯罪とし、社会的に糾弾するのは、すべての思想や少数派弾圧につながるからです」と、タブー視して正しく議論されない日本の現状を憂慮した。

 ただ町山氏の主張に対しても「大麻について、議論するだけで、SNS内でも、変人の様な扱いを受ける日本、もう少し冷静に、議論してもいいのでは」という賛同意見もあれば、「大麻自体には麻薬ほど害がないにせよ、大麻を服用する事でほかのドラッグに手を出して行く契機になれば、それはそれで問題でしょう」との反対意見もあった。

 脳科学者の茂木健一郎氏は、「町山さんのツイートに触発されて書くけど、日本のドラッグに対する断罪のやり方は、異常」と町山氏の意見に同調。「ぼく自身はドラッグはポリシーとして一切やらないけど」とした上で、「町山さんと同じ理由で、ここまでのヒステリックな断罪は、社会として駄目。メディアも駄目。刑法でなく、公衆衛生的アプローチをすべきです」と自身の考えを述べた。

 また、フジテレビ系「ユアタイム」等のニュース番組でコメンテーターを務めるラジオパーソナリティーでジャーナリストのモーリー・ロバートソン氏は「ジャーナリズムの精神に則って日本でも開かれた議論を進めるべきだと思います。白か黒かで判定しようと焦ると、放射能に関する報道と同様に議論が成り立たなくなるでしょう。医学的な効能、社会的なメリットとデメリット、他のドラッグとの相関性など、議題は付きません」と主張。「大麻が合法化されるかどうかよりもっと根本的な問題が言論の自由です。大麻に関する日本の大手メディアの自主検閲は、中から見ていても目に余るものがあります。そもそも海外のソースを英文で読まず、翻訳もせず、怠慢に過ぎます。定期的に魔女狩りをやっては次の興奮を追い求める、業界の依存行動」と、報道のあり方について苦言を呈した。

 やはりロバートソン氏の主張に対してもネットユーザーの間では賛否が分かれており、「敗戦直後の1948年に、アメリカGHQの占領政策によって制定された大麻取締法が、70年以上経った、現在も残っている、嗜好(しこう)用大麻について、オープンな議論を進めるためにも、メディアは、メリットとデメリットを含め、ファクトを、報道していただきたいです」「『定期的に魔女狩りをやっては…』はよくわかります。ただ大麻議論で大手メディアの言論の自由(報道の自由?)にテコ入れするのはちょっと無理矢理な気がします」などといった意見もあった。