芦田愛菜(12)鈴木梨央(11)に次ぐ「天才子役」が出現した。芸歴4年で11歳の伊東蒼が2日、都内で初主演映画「島々清しゃ(しまじまかいしゃ)」(新藤風監督、17年1月21日公開)の東京国際映画祭での舞台あいさつに登壇。日刊スポーツの単独インタビューにも応じた。

 3月に日本アカデミー賞最優秀主演女優賞を受賞した演技派女優の安藤サクラ(30)が、観客に向かって連呼した。「伊東蒼ちゃん、伊東蒼ちゃんです。覚えて帰ってください!」。新藤兼人監督(享年100)の孫、新藤風監督も「将来すごいことになるんで(覚えておいて)」と続けた。2人に挟まれた伊東は、ペコリと頭を下げて照れ笑いした。

 今、芸能界で話題急上昇中の子役だ。まずは、10月29日に公開された宮沢りえ主演映画「湯を沸かすほどの熱い愛」で、夫(オダギリジョー)の浮気相手との間の子役を好演。今作では、オーディションで新藤監督に「か細い声の自己紹介だったのに、演技をリクエストした瞬間に、目を生き生きさせて演じてくれた。この娘しかいないと文句なしだった」と一目ぼれさせて、初主演の座をつかんだ。5日放送の柴咲コウ主演のテレビ朝日系特別ドラマ「氷の轍」(午後9時)にも出演する。表情豊かな演技が印象的で、映画やドラマ関係者、視聴者らの間では、その演技力などから「天才子役」と呼ばれ始めている。

 今作は、聴覚が敏感すぎて級友となじめない女の子うみ役。共演者たちと同居生活する沖縄長期ロケでも「最初は物語の中でうみが友達と仲良くないので、私もどのくらい仲良くしたらいいのか考えながら撮影しました」。切なく涙する場面も「うみの気持ちを思い返して泣きました。監督とは毎シーンごとに、たくさん話して考えて役を作りました」。この日の舞台でも「1つの望みに向かっていくうみちゃんに、演じる私も何回も励まされました。映画を見てそう思っていただけたらうれしいです」と立派なあいさつをした。

 夢は、憧れの愛菜ちゃんのように数多くの作品に出演することだけではない。「将来は映画監督さんになってみたい。自分で物語を書いていて、主人公はどう演じるのが良いかとか、いつも頭の中で考えているんです」。子供離れした感覚を備えた逸材だ。【瀬津真也】

 ◆伊東蒼(いとう・あおい)2005年(平17)9月16日、大阪府生まれ。5歳で芦田や鈴木らが所属する子役事務所ジョビィキッズに入り、6歳の11年11月TBS系ドラマ「アントキノイノチ」でデビュー。12年NHK大河「平清盛」、BeeTV「君と僕との約束」、13年日本テレビ系「東京バンドワゴン」、15年NHK BSプレミアム「ラギッド!」、13年映画「貞子3D2」などに出演。身長132センチ。