映画「続・深夜食堂」(松岡錠司監督)の公開記念舞台あいさつが24日、東京・丸の内TOEIで行われた。

 この日はステージ上に、実際に撮影で使われた「めしや」ののれんが設置され、主演の小林薫(65)、安藤玉恵(40)、宇野祥平(38)、金子清文(51)、須藤理彩(40)、小林麻子(44)、吉本菜穂子(39)、オダギリジョー(40)、松岡錠司監督(54)が、のれんをくぐりながら観客の前に登場した。

 小林は「11月としては50数年ぶりに雪が降ったということで、こんなにたくさん来てくれているとは思わなかった。感謝でいっぱいです」と駆け付けた観客にお礼を述べた。

 松岡監督も「ここまで強い拍手をいただいたのはここ最近ないですね。ものすごくうれしいです。(映画が始まって)割と早めからおなかが鳴ると思うんですけど、みなさん同じ現象だと思うので、気になさらないでいてほしいなと」と笑みを浮かべた。そして「おなかが鳴るところは人それぞれだけど、笑うところやちょっとしんみりするところは、みんな一斉にリアクションする。そういうのは今の日本映画で、まれだと思うので、見ず知らずの人たちと肩を寄せ合って、まさに、めしやのカウンターを体験してほしいです」とメッセージを送った。

 舞台あいさつの中で「これまでの人生でほっこりするエピソードは?」という質問が出た。宇野祥平は「近所にいるお地蔵さんの前を毎日通っていて、夏はTシャツ、春はカーディガン、冬はジャンパーを着ているんですけど、今日通ったら、ニット帽は被ってるのに裸だったんです」と語り、会場は温かい笑いに包まれた。

 オダギリが「(エピソードを)ずっと考えてたんですけど1つも見つからなくて。実は今日、すごく二日酔いなんですよ。トイレで吐いたくらい。今からごはんの映画を見るのに申し訳ない」と言うと、見かねた監督が「慎重に話してね」と、苦笑交じりで制止しようとする一幕もあった。

 これから台湾、韓国、香港と世界でも続々、公開が決まっている。小林は「息子の彼女の話や、終活に近い年齢の人が、胸に刺さった人生のとげを何かのきっかけに取ってみたいとか、市井の人たちにとってみたら、そういうものが1番大きなドラマになっていると思う。同じように共感できるような映画が、1つくらいあってもいいと思う。松岡監督は評判がいいと調子に乗るから、立ち振る舞いが気になっちゃう(笑い)。けれど、こういうふうに評判が良くて、アジアでも公開されるというのを聞いていると調子に乗ってもいいのかなって」と言い、笑った。