プレーバック日刊スポーツ! 過去の12月6日付紙面を振り返ります。2011年の1面(東京版)は松山ケンイチが日刊スポーツ映画大賞で主演男優賞を獲得したことを報じました。

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 松山ケンイチ(26)が映画「ノルウェイの森」「GANTZ」シリーズなどで、主演男優賞を獲得した。第24回日刊スポーツ映画大賞・石原裕次郎賞(日刊スポーツ新聞社主催、石原裕次郎記念館協賛)が5日、決定した。新藤兼人監督(99)の「一枚のハガキ」が作品賞と監督賞の2冠を獲得。石原裕次郎賞は「探偵はBARにいる」が選ばれ、28日に東京・紀尾井町のホテルニューオータニで行われる授賞式で、裕次郎夫人のまき子さんから賞金300万円が贈られる。

 松山は今年、主演および主演級で5作品に出演した。村上春樹氏の世界的ベストセラー小説が原作の「ノルウェイの森」、アクションもあった「GANTZ」2作品、独身男性が子供と一緒に暮らす「うさぎドロップ」、過激派の男を演じた「マイ・バック・ページ」。中でも「これ以上出せって言われても、もう何も出ないよっていうくらいだった」というほど自分を絞り出した作品が、昨年12月に公開された「ノルウェイの森」だった。

 「去年、どこにも(賞に)入らなかったので、評価されなかったのかなと思っていました。だからうれしいです。賞もあんまりいただいてないんで励みになります。報われた、というんですかね」

 トラン・アン・ユン監督は、松山がこれまでに出会ったどの監督とも異なっていた。俳優とともにモニターを見て芝居を細かく修正する手法を経験し、一緒に作り上げた実感を持った。「どっぷりつかれた作品。でも、こういうやり方に慣れちゃったら、ほかの作品ができなくなっちゃう」と、ぜいたくな時間を振り返った。同監督とは今もメールをやりとりしている。また一緒に? と聞くと「もちろんやりたいです。英語も勉強中です」と話した。

 新しい監督との出会いはさらに、自身が監督になるという夢も描かせた。「いつかしてみたい。ただ、自分は芝居のことしか見えないと思うので、細かいことを見てくれる『本物の監督』に横にいてもらわないと」と苦笑いした。

 今年は私生活でも転機の年だった。4月に女優小雪と結婚し、来年には子供が生まれる。「人間的な成長があっておもしろい役ができるんだと思います。結婚して子供が生まれることを、経験してるのとしてないのとでは違う。説得力がある芝居ができるように頑張りたい。楽しみです」と喜んだ。小雪には真っ先に受賞を報告した。「『いただきました』って言ったら『良かったね』って」。

 映画の現場が何より好きと話すが、来年1年はNHK大河ドラマ「平清盛」に集中することになる。取材日も、役作りで1年以上切っていない髪を帽子に収めていた。「大河が終わったらまたいい作品に呼んでもらえるよう頑張ります」。2012年、公私で大きな経験を積む26歳は、その後も見据えて前に進み続ける。

 ◆松山(まつやま)ケンイチ 本名・松山研一。1985年(昭60)3月5日、青森県生まれ。01年にモデルとしてデビュー。03年「アカルイミライ」で映画初出演。05年「男たちの大和/YAMATO」で人気に。06年には「デスノート」のL役で注目され、08年映画「デトロイト・メタル・シティ」で日本アカデミー賞優秀主演男優賞にノミネート。来年3月に「A列車で行こう」が公開。今年4月、女優小雪と結婚。180センチ、60キロ。血液型B。

※記録と表記は当時のもの