覚せい剤取締法違反(使用)の疑いで逮捕された歌手ASKAこと宮崎重明容疑者(58)が、今夏ごろから外泊を繰り返していたことが29日、分かった。

 覚醒剤が体内に入った状態で「盗撮されている」と110番通報したASKA容疑者の行動は、薬物の影響なのか。神奈川県立精神医療センター(旧せりがや病院)の黒沢文貴医長は「覚醒剤の中毒症状の1つで、視線が気になる『注察妄想』の可能性が高い」とみる。「使用後の急性症状として現れることが多く、長期に使用した人の場合はリアルタイムで使用しなくても、慢性中毒症状の後遺症として出る可能性がある」という。

 1度は治療機関やダルクにつながったASKA容疑者だが、その後は治療から離れた。黒沢氏は「ASKAさんはやめたいと思っていたと思うが、1人では難しい」と指摘する。

 国立精神・神経医療研究センター(東京都小平市)の依存性薬物研究室・舩田正彦室長は「一般的に注察妄想は、慢性中毒の重篤な状況で深刻」とした上で「覚醒剤乱用の怖さ。未使用者の使用防止とともに、再使用防止のための治療機関などを社会が充実させていく必要がある」とした。