来季は「神ってる」卒業!? 広島鈴木誠也外野手(22)が1日、都内のホテルで「2016ユーキャン新語・流行語大賞」の表彰式に出席した。6月の2試合連続サヨナラ弾で、緒方孝市監督(47)からたたえられた言葉が年間大賞を受賞した。ただ、来季は運頼みにも聞こえる「神ってる」ではなく、実力で自分の名前を全国に売り込んでいく意気込みだ。

 喜びと戸惑いが交錯していた。鈴木の名を全国に広めるきっかけとなった「神ってる」が流行語大賞を受賞した。この日「神ってる」を生んだ6月の2試合連続サヨナラ本塁打も、「スカパー!ドラマチック・サヨナラ賞 年間大賞」を受賞。いったいどこまで「神ってる」のか、ついには流行語大賞の表彰台だ。

 「僕自身が言った言葉ではないので、どうやって喜んでいいのか分からない」が、「最後の最後でこういう流行語大賞を取れたので、『神ってる』と思います」と喜んだ。

 6月18日オリックス戦で2試合連続サヨナラ弾を放ち、緒方監督から「今どきの言葉で言うなら、神ってる」と称賛された。翌19日には3試合連続決勝弾を放ち、その後も5番に定着するなど25年ぶり優勝の大きな原動力となった。打率3割3分5厘、29本塁打、95打点はフロックではない。

 ただ、打てば、枕ことばのように「神ってる」と言われることには、喜びとは違う感情があった。「『神ってる』という言葉をきっかけに飛躍できました。ただ、シーズン中に活躍するたびに『神ってる』と言われるのは悔しい部分もあった。来季は言われないように、自分の実力で見せていきたいと思います」。運頼みやマグレ感も含まれる「神ってる」。だが来季は実力で名を売る覚悟。表彰式で、まさかの「神ってる」卒業宣言が飛び出した。

 都内で2つの表彰式に出席した鈴木は、チーム便から遅れて優勝旅行先のハワイへ旅立った。シーズン中の活躍から忙しいオフを過ごしているため「(ハワイで)遊ぶときは遊びますが、練習できればやる。ワイキキビーチを思い切り走って、トレーニングしたい」とオンとオフを切り替える。旅先でも練習意欲は旺盛だ。「神ってる」活躍が実力であったことを来季、何としても証明する意気込み。「流行語」では終わらせない。【前原淳】

 ◆球界の流行語大賞 昨年「トリプルスリー」(柳田悠岐、山田哲人)が球界では99年の「雑草魂」(上原浩治)、「リベンジ」(松坂大輔)以来16年ぶりに年間大賞に選ばれた。大賞以外の広島関連では87年特別賞の「鉄人」(衣笠祥雄)、14年トップ10に入った「カープ女子」がある。