ギタリスト押尾コータロー(48)が大阪市内で日刊スポーツの取材に答え、新アルバム「KTR×GTR」(9日発売)をPRした。来年、日米でのメジャーデビュー15周年を迎える節目の1枚は、タイトルも「コータロー×ギター」というシンプルなネーミングとした。「(周囲に)言われて15年と気付いた。続けさせていただいた気持ち。お客さんに、スタッフに対して感謝しかないです」と振り返った。

 押尾の楽曲はメロディーのみで歌詞がない。ピックを使わず、右手でギターをたたくように演奏する「タッピング」は、B.B.キングも認めた高い技術だ。楽曲には歌詞はないが、曲名は付く。タイトルありきで曲を作るのか、作曲後にタイトルを付けるのか。「両方ですね。例えばアルペジオでポロポロと弾いているとき、これは『星座のアルペジオ』かなと仮題を付けてみる。スタッフに聞いてもらってアドバイスを受ける。その時々ですね」。

 長いキャリアの中で、ギタリストという立ち位置を生かして、多くのアーティストと共演してきた。数ある思い出のステージの中でも、歌手和田アキ子との共演は印象に残っているという。「普段は強いイメージのアッコさんが本番前に緊張していたんです。(名曲の)『古い日記』を演奏したとき、本番直前まで、もう1回イントロ弾いてと言われて、乙女のようにかわいらしい人だと思った。ただ、歌い出したらすごい、本物(のボーカリスト)です」。 来年2月4日の神戸公演(午後6時開演、新神戸オリエンタル劇場)を皮切りに、11年以来となる全国47都道府県ツアーを行う。前回はツアー直前に東日本大震災が起きて、公演を止めようと思ったこともあった。「ファンの方から行く先々で止めないでという声を直接いただいた。終演後に募金活動した時に1人1人の声を聞いて、逆に勇気をもらいました」と振り返る。

 押尾がコツコツ書き続けたブログも15年。「続けないといけないという義務感ではなく、負担にならない程度で書いている」と笑う。SNSも演奏も等身大の発信が、ファンの心をつかんでいる。

 「押尾コータローのギターで歌いたいと言ってくれるゲストとのコラボレーションアルバムと、コンサートをやってみたいんですよね」。思い描くパフォーマンスも押尾だからこそできる等身大の目標だ。自然体で節目の1年を迎える。