NHK大河ドラマ「真田丸」で信濃の国衆・室賀正武を演じ「だまれ小童(こわっぱ)!」のセリフが話題となった俳優西村雅彦(56)が、DVDブック「西村雅彦の俳優入門 1カ月で効果が出るセリフのメソッド」(飛鳥新社)を出版した。

 役者だけでなく一般人の日常生活にも役に立つノウハウが満載だ。西村は「5年前から素人の方と芝居作りを始めて、大半の方が『日常生活が変わった』って言ってくれる。声が出て新たな仲間を得て、生きる喜びになっている。芝居の持つ意味を強く感じて、より多くの人に知ってもらいたいと」と話した。

 「役者の基本はセリフを伝えること」だという。思いをしっかり伝えるために、ブロードウェー方式の発声練習、「言葉の頭の1音をはっきり言う」「語尾に『ッ』を入れてしっかり言う」などの方法を明かしている。「本だけでなくDVDで映像を見ることで、より理解が深まる」。

 スマホ、SNSの普及で顔を合わせて話すことが少なくなってきた。「自分への戒めでもあるんですが、ぼんやり言葉を発していることがある。ちゃんと思いを持って言葉を伝えなければ、相互理解は生まれない。きちんと角突き合わせて、しゃべらないと」。

 役者になって30年超。「引っ込み思案で恥ずかしがり屋だった。でも、甘えた状況から脱却するため一番苦手なことに身を置いた」。劇団「東京サンシャインボーイズ」、フジテレビ系「古畑任三郎」で大ブレーク。「紆余(うよ)曲折があったけど、“芸縁”によって、役者の仕事をさせてもらっている。今は演じることが楽しい。この本をきっかけに、たくさん人が人前に立つということを思ってくれれば」と話した。【小谷野俊哉】