第58回日本レコード大賞が30日、東京・新国立劇場で発表され、西野カナ(27)の「あなたの好きなところ」が受賞した。優秀作品賞10曲の中から選ばれた。大賞初受賞の西野は「もう言葉が出ません。鳥肌が立ちました。本当に本当に本当に皆さんに感謝の気持ちでいっぱいです。ありがとうございました」と満面の笑みを見せた。ソロ歌手では06年の氷川きよし(39)以来10年ぶり。平成生まれのソロ歌手の受賞は初めての快挙となった。

 恋愛や友情をリアルにつづる歌詞と等身大のファッションが、10~20代女性を中心に絶大な人気を誇る。この日の勝負服は21人分のメンズデニムを使用した特製ドレスで西野が考案。ファッションリーダーらしいセンスを発揮した。08年にデビュー。当時について「名古屋から新幹線で通っていました。お母さんが、お客さん代わりでした」と懐かしそうに振り返った。

 楽曲総ダウンロード数は5500万以上で“着うた女王”の異名も持つ。昨年は女心を取扱説明書になぞらえた「トリセツ」がヒット。受賞曲「あなたの-」は、恋人の好きなところを書いて渡す海外で流行中のトランプラブレターに着想を得て歌詞をつづった。西野にとって十八番の恋愛ソング。ツアーのラストに歌うなど「思い入れが強い曲」と公言していた。

 受賞発表前、レコ大について「今年も出させていただくのは、たくさんの人に聞いてもらったんだなと」と感謝していた。音楽好きのキャロライン・ケネディ駐日米大使もプライベートで会場に駆け付け、西野の晴れ舞台を見守った。

 11年から優秀作品賞を連続受賞。6回目で初栄冠となった。「こんなにすばらしい日を迎えられるなんて…」と感激しきり。日本有線大賞を含め音楽賞計4冠を達成。来年迎える10周年に向けて弾みをつけた。【近藤由美子】