昨年大みそかに放送された「第67回NHK紅白歌合戦」の第2部(午後9時~同11時45分)の平均視聴率が関東地区で40・2%(関西地区39・5%)だったことが2日、ビデオリサーチの調べで分かった。前年の紅白ワースト記録39・2%を1ポイント上回り、40%の大台に乗せた。第1部(午後7時15分~)も35・1%(関西地区34・0%)と前年を0・3ポイント上回った。

 NHKはさまざまな企画で「SMAPなし紅白」の穴を埋めようと努力したと思う。東京五輪に向け、新しい紅白を目指す意欲も感じた。一方で、企画が中途半端だったり唐突で、曲の余韻をかき消したりすることも少なくなく、皮肉にもSMAP出場辞退の“余波”が浮き彫りになった。

 タモリとマツコ・デラックスが紅白の舞台裏を歩き回る企画は、何か起こるかもとサプライズを期待した視聴者を引きつける効果は十分あった。だが、最後はマツコが「家でゆっくり年越したかった」とつぶやいて終了。大物2人を起用しながら、もったいないと感じてしまう内容だった。

 また、多くの企画は、洗練され、計算された流れではなかった。SMAP出場をぎりぎりまで交渉したため、時間的余裕の無い時点で「SMAPなし」が確定した影響が出たようにも感じる。もしSMAPが出場していたら驚異的な視聴率になったはずだが、あきらめるタイミングも重要だったのかもしれない。

 SMAPの代わりとなるサプライズを期待した視聴者もいただろう。また、企画の内容と流れのぎこちなさから逆に、ハプニングが起こるかもと目を離せず、ハラハラしながら見た視聴者もいたかもしれない。これらがNHKの計算ならすごいことだが。【放送担当・中野由喜】