俳優、歌手として第一線を走り続け、今年芸能生活58年目の「若大将」加山雄三(79)は、4月に80歳の誕生日を迎える。明日9日には自身が司会を務める音楽トーク番組の新春特番、BS朝日「歌っていいだろう 2017年春 君といつまでもスペシャル」(午後9時)が放送される。このほど日刊スポーツの取材に応じ、パワーと若さの理由、そしてこれからの挑戦を語った。

 60年にスクリーンデビュー。時を経ても若大将の爽快さは健在だ。BS朝日の音楽番組「歌っていいだろう」(木曜午後11時)では、スチャダラパーのBose(47)とレギュラー司会を務めている。9日に放送される新春特番では谷村新司(68)森山良子(68)八代亜紀(66)らをゲストに迎える。92年に放送された日本テレビ系「24時間テレビ」の本番中に、谷村と共同で、同番組のテーマ曲となった「サライ」を作った秘話などが明かされる。

 「あれからもう25年。毎年、一番感動的なシーンで大勢の人たちに歌ってもらえる。あれは歌えば歌うほど、著作権料が全部寄付にまわる。ものすごいチャンスをもらったと思うよ」

 谷村とは音楽だけでなく、趣味でも交流がある。

 「谷村君は音楽以外に陶芸の先生ですね。兄弟子というか。先に備前焼をやってて。俺んちに遊びに来た時に備前焼を見つけてね。『加山さん、これはすごいですよ。僕は、ずっと備前焼をやってるんです』『やりたかったんだよ。連れて行ってくれよ』って。そういう全然違う領域で趣味をやっているうちに、音楽の話を通り越して人間の奥深くの精神の話までいった(笑い)」

 よどみない口調。明るい笑顔は、若大将のままだ。

 「はっはっはっ、そんなことないよ。変わってる、変わってる(笑い)。若大将って言ったってさ、映画の中のね。まあ、『寅さん』と言われるのと同じでニックネーム」

 豪快に笑って謙遜したが、元気と若さの理由も教えてくれた。

 「ずっと続けているのは朝晩、水をかぶること。普通の人はやらない方がいい。それで身が締まる。そばをゆでてるみたいなもの。それと、何でも食べる。偏らないように朝に目いっぱい食って、だんだん少なくしていく。そうはいかないけど(笑い)。こないだなんか、やっぱり食いすぎてねえ。夜、肉ずし50貫くらい食っちゃった。いや、これが食えちゃうんだ(笑い)」

 パワー全開だ。まだまだいろいろなことにチャレンジする気満々。特にエコ問題への関心が高いという。

 「(やりたいことが)いっぱいある。この年で困ってるんだよ(笑い)。まあ、総称していえるのはエコ。音楽だけじゃなくてね、20年の東京五輪、なるべく再生可能エネルギーだけでできたらいいなと。世界中の人たちの意識改革をできるようになれば最高だな」

 1964年東京五輪の時も日本を代表するスターだった。

 「それはまあ、置いておいて(笑い)。オリンピックはお祭りで、若い人がワアッてやってそれでいい。俺は自分をしっかりと“品質管理”して頑張っていくよ」

 人生の航海は、まだまだ続く。【小谷野俊哉】