映画「沈黙-サイレンス-」(21日公開)のマーティン・スコセッシ監督(74)が16日、都内で、来日会見を行った。

 同作は作家遠藤周作氏の代表作の1つ。66年に発表され、現在までに20カ国以上で翻訳され読み続けられている名作。

 スコセッシ監督と「沈黙」の出会いは28年前にさかのぼる。88年公開の映画「最後の誘惑」はキリスト教団体から抗議を受けるなど議論を呼んだが、その際、エピスコパル教会の大司教から薦められて読んだのがきかっけだったという。「自分の信仰心を失っていた時期だったけど、もっと探求しなければならないということだと思った」と話した。

 原作を読んだときから映画化をもくろんでいたという。長い年月を経て映画化に至ったのは「ようやく納得のいく脚本が出来たのと、私生活で再婚して娘が生まれたのも大きいです。私生活の変化が可能性を押し広げるきっかけになった」と話した。

 この日は、かくれキリシタン帳方の村上茂則さん(66)がゲスト出演。「先祖たちを思うと涙が出る。感情があらわになる作品なので、日本、世界でぜひ見て欲しい」と話した。スコセッシ監督は「力の限りを尽くした映画。通過儀礼というか、巡礼という感覚を持っている」というコメントで締めくくった。