声優の浪川大輔が16日、東京・新宿バルト9で行われたアニメ映画「LUPIN THE 3RD 血煙の石川五ェ門」(小池健監督、2月4日公開)トークイベントに登壇した。

 浪川は冒頭で「皆さんが知っているルパンはエンタメで、かなり明るく楽しい愉快な泥棒一味。今回は原作に近いテイストで、かなりハードボイルドな感じ。今の五ェ門がゴールとして、どのように五ェ門が覚醒していくのかを意識して演じた。ものすごいプレッシャーの中、楽しくもあり厳しく収録しました」と、テレビシリーズと比較しながら、今作を演じた感想を語った。

 「-血煙の石川五ェ門」は、浪川演じる石川五ェ門の若き日を描く。伊豆沖で賭博船が爆発し、乗っていた鉄竜会の組長が命を落とす中、組の用心棒の五ェ門は、犯人の男を取り逃がしてしまい、裏切り者の汚名を着せられる物語。混乱の最中に賭博船から金を奪った、若き日のルパン三世(声・栗田貫一)、次元大介(声・小林清志)、峰不二子(声・沢城みゆき)も登場する。

 浪川は11年に「ルパン三世」シリーズの声優が代替わりした際、五ェ門を演じることになり、それ以後、故大塚周夫さん、井上真樹夫と大先輩が演じてきた名キャラを3代目として背負ってきた。そして、14年の「次元大介の墓標」に続く映画「LUPIN THE 3RD」シリーズ2作目の今作で、シリーズに初出演&主演を果たした。

 16年12月に都内で行われた最速上映会の際、浪川はルパン三世役の栗田から「浪川大輔が石川五ェ門になった作品だ」と絶賛された。浪川は「ずっと僕は『3代目石川五ェ門』と言われてきて、レジェンド(先輩の2声優)のお芝居のモノマネというか、皆さんのイメージと機嫌を損なわないよう演じてきたつもりですが、今回は若かりし日の五ェ門。一緒に第一歩を歩いている感じで背中を押してくれる五ェ門と作品で、栗田さんの言葉が励みになった」と、当時を振り返り、栗田に感謝した。

 その上で、存分に演じた若き日の五ェ門の役作りと、その意味を明かした。

 浪川 若いから若く演じる、というふうにやると、すごく陳腐なものになると思った。五ェ門は五ェ門なりに、その一瞬、一瞬を一生懸命、必死に演じるのが若いのかな、と解釈した。。それが、まだまだ未熟だと見てもらえたら、うれしい。若いから、やっちゃったぜ…みたいにやったら、石川五ェ門じゃないのかな…(演技で)気を抜いたところは1つもないです。

 小池監督は「五ェ門は、ペラペラしゃべるタイプではない。要所、要所、決めのセリフを、すごくニュアンスを拾って演じていただいた。ポイントになる演技は何度もテイクを重ねていただき、そのおかげでブラッシュアップできたものが、フィルムに乗っていると思います」と浪川に感謝した。

 劇中には、五ェ門による50人斬りの場面が出てくるが、その場面は斬られる1人1人が、しっかり描かれているという。浪川は「斬られる方も斬る方も、全員、声を収録しています。それくらい、こだわって作っていますし、五ェ門が覚醒するところの落としどころは、どこなんだろうというところは、僕も非常に納得しています」と胸を張った。【村上幸将】