マーチン・スコセッシ監督(74)の新作「沈黙-サイレンス-」(21日公開)のプレミア試写会が17日、都内で行われた。

 遠藤周作氏の同名小説の映画化で、鎖国の日本を舞台に信仰と人の命の重さを問いかける作品。

 この日は窪塚洋介(37)浅野忠信(43)イッセー尾形(64)塚本晋也(57)小松菜奈(20)加瀬亮(42)ら日本人キャストが勢ぞろいした。

 窪塚は「監督は、何度も何度も日本に来てくださって、極東に住む俺みたいな馬の骨にどれだけの敬意を払ってくださったか。山の上の撮影がどれだけ寒くても、正座のシーンが続いて古傷が痛んでも…それはすべて幸せの一部でした」と作品と巨匠への思いを語った。

 浅野も「僕の役は通訳だったので、そんなつらいシーンはなかったのですが、僕らのどんな細部も見逃さない、生かしてくださる。こんな幸せな瞬間はありませんでした」と続けた。

 海の中ではりつけになるすさまじいシーンに出演した塚本は「僕はスコセッシ教の信者ですから、あれも修行です」。

 一方で、敵役を演じたベテランのイッセーは「出演が決まってから時間があったので、毎日この役を育てました。わが子のように。わが子を悪役にしたがる親はいません。だから、悪役ではありますが、根はいい子なんです。それを分かっていただければ」と監督を笑わせた。

 構想から28年、編集だけで1年半を費やした監督は「毎日、フィルムを見続けてここにいる皆さんはまるで家族のような感じです。塚本さんのはりつけシーンでは、スタッフがみんな泣いていた。それぐらいの熱演でした。遠藤周作さんの原作を咀嚼(そしゃく)するのに本当に時間がかかりました」と振り返った。