熊本地震の被災地復興を目的に、4月7日から9日まで熊本市と菊池市、益城町で開催される「くまもと復興映画祭」記者会見が2日、都内で行われた。

 行定勲監督(48)は、昨年の熊本地震発生後に全国、世界各国でチャリティー上映された中編映画「うつくしいひと」の続編で、同映画祭でプレミア上映される「うつくしいひと サバ?」に、熊本県のご当地キャラ、くまモンが前作に続いて出演すると明言した。

 くまモンはね…出ます。何か、いい形で、自然に出ていますね。今回は、町の中がだいぶ前向きに復興しているんだ、というのを撮りたくて、その中に、くまモンが存在していますね。前は、流れの1つのきっかけになったんですけど、くまモンは街で、みんなに元気を与えてるんだっていう、自然な形ですね。

 「うつくしいひと」は、行定監督が故郷の熊本県とタッグを組み、熊本の良さをたくさんの人に知らせるための映画として15年10月に初めて故郷を舞台に撮影された。それが16年4月に熊本地震が発生したことを受け、行定監督は「うつくしいひと」を携えて全国各地、世界各国で上映会を行った。その結果、映画は被災者支援のための募金、義援金を集めた、復興支援のシンボルとなった。くまモンは劇中に、被災前の美しい熊本城の周りを走るなどして出演している。

 続編の「うつくしいひと サバ?」について、行定監督は次のように語った。

 サバはフランス語で「元気?」「大丈夫?」という意味。フランス人の男の人が出てきて、彼の探す人、求めている場所を、熊本の被災に遭った探偵が探す話で、探す場所が益城町になっています。益城で取材していて、あるご老人に「頑張ってください、応援しています」と言った時に「頑張れ、頑張れ言うたって、あんたたちは、俺たちを、なんば助けてくれるとや? この絶望を、どうやって救えるとや? 60年近く益城に住んで、今、俺ん家は仮設住宅よ。俺は、どこで死ぬとや? と思うと、どやして生きていけばいいか分からん」と小さい声でおっしゃった。そんな言葉を聞くと、胸を締め付けるんですよ。(映画という)フィクションは、熊本の人たちがどんな気持ちで被災地でいるか…そういう生きた言葉を登場人物に言わせることが出来るんですよね。僕が見て聞いた、個人的な言葉が、この映画には入っている。それでも、みんな熊本で生きていくという…それが何なのか、どうしてそういう気持ちになるのかを映画にしたいと思った。

 行定監督は「くまもと復興映画祭」のポスターに映し出された、被災した熊本城の写真を見て「変わり果てた熊本城を見られるのは、今だけですよ。ビックリしますけれど、歴史的な状況が起こっているのは今…だから熊本に来てほしい。20年後には、姿を取り戻す感動を、みんなで1つの時代の流れとして共感するには、今を見ていないと。熊本に関わるのは今」と、映画祭への参加を呼び掛けた。【村上幸将】