第90回キネマ旬報ベスト・テン表彰式が5日、都内で行われた。

 興行収入15億円と大ヒット中のアニメ映画「この世界の片隅に」が、日本映画ベスト・テン第1位に選ばれ、片渕須直監督(56)が監督賞、読者選出日本映画監督賞の2冠に輝いた。アニメーション作品の日本映画監督賞受賞は初で、アニメーション作品が、日本映画ベスト・テン第1位に選ばれるのは、第62回の宮崎駿監督「となりのトトロ」以来28年ぶりの快挙となる。

 片渕監督は「アニメーションの監督で、初めて賞をいただいてしまったわけですが、アニメーションそのものが、今までよりも表現できるところがたくさん増えている。それを認めてもらえるようになったのかなと思って。アニメーションの作り手を、代表していただけたと思います。これからも日本のアニメが、いろいろなふうに、広い表現で皆さんの元に巣だっていくと思います」と喜んだ。

 この日は、主人公すずの声を演じた、のん(23)が特別ゲストとして駆けつけた。2人は第38回ヨコハマ映画祭授賞式で作品賞、のんが審査員特別賞を受賞した足で、キネマ旬報ベスト・テン表彰式に駆けつけた。

 のんは「片渕監督はじめスタッフ、キャスト、そしてこの映画を見てくださった方が、同じところに気持ちが乗るというか…一員かのように広めてくださった。こうして評価されるのが、自分のことのようにうれしい」とあいさつした。

 片渕監督は、のんのアフレコ時の裏話を聞かれ「僕が指示しすぎて、お昼ご飯の時間を飛ばして、おなかが鳴ってしまって、その音が入ってしまった。僕らも実はおなかが鳴っていまして、今度は、ちゃんとおにぎりを用意して食べようよ、と話しました」と言い、苦笑いを浮かべた。【村上幸将】