アメリカ社会で常に関心を集める、セクシュアリティの問題。性的少数者の総称LGBT(レズビアン、ゲイ、バイセクシュアル、トランスジェンダー)という言葉は日本においても広がりつつある。しかし、エンターテインメント業界におけるセクシュアリティの扱いには、日本とアメリカの間でまだ大きな差がある。

 日本の遅れは、アメリカでは自然に扱われるセクシュアリティの問題が、日本ではまだ“特殊”なものとして捉えられることに表れている。たとえば、アンケートで結果の出る“オネエ系タレントランキング”。このランキングに入る芸能人たちは“オネエ”としてのキャラを確立し、売りにしている。少数派のセクシュアリティのセレブをグループ化し、さらにその中でランキングを発表するということはアメリカでは少ないだろう。

 アメリカのエンタメ業界においてセクシュアリティは単にその人の特徴の1つとして扱われる。TV司会者として絶大な人気を誇り、女性のパートナーと結婚しているエレン・デジェネレス(59)を“レズビアンの司会”と分類するメディアはいない。エレン自身も、自分のセクシュアリティをネタにしたジョークを飛ばすことはあっても、それを自分の主な売りにすることはない。

 さらに、アメリカのセレブたちはセクシュアリティをめぐる社会問題に光をあてる役割を果たす。いじめやハラスメント、それらに起因する自殺。少数派であるために苦しむ人々を救うべく、セレブは自分の影響力を使う。歌手のマイリー・サイラスはLGBTの若者など社会的弱者をサポートする団体「Happy Hippie Foundation」を設立。日本ではまだまだ、有名人がLGBTの権利拡大のために活動するということは少ない。

 日本の労働組合が2016年に行った「LGBTに関する職場の意識調査」によれば、職場に同性愛者やバイセクシュアルがいることに抵抗を感じる人は3人に1人という高い割合。エンタメ業界は、これを変えていく役割を果たせるだろうか。【ハリウッドニュース編集部】