初期の乳がんで治療に専念している女優藤山直美(58)のおい、松竹新喜劇の藤山扇治郎(30)が22日、大阪府内で直美について「心配していない。働き過ぎだったので、パワーアップして戻ってきてくれると思う」と語った。

 この日は主演舞台「銀二貫」(6月1~11日、大阪松竹座)役作りのため、大阪府高槻市の寒天工場を訪ね、席上で直美について尋ねられた。

 直美は毎年1月、乳がん検診を受けており、今年も受診したところ、再検査を勧められ、2月上旬に右側乳房に初期の乳がんが見つかった。関係者によると、現在は精密検査を経て、治療方針を確定させようと詰めているという。

 扇治郎は「3日ほど前ですかね、最初聞いたときはびっくりした。(発表の)事前には聞いてなくて、急に。そうなんや! たいへんやなと思いました」と率直に一報を振り返った。

 「でも、本当に働きづめで、休むことを知らない人なので、ゆっくり治療をして、もっとパワフルに、2~3人ぶっ飛ばすぐらいパワーアップして戻ってきてくれると思う」と続けた。

 発表後も連絡はとっておらず「もうちょっとして、落ち着いたら会いに行こうと思います」と言い「おとなしく、ゆっくり治療してほしいですね」と望んだ。

 扇治郎は故藤山寛美さんの孫で、直美の妹を母に持ち、13年に祖父と同じ松竹新喜劇入りした。

 祖父とともに、直美も「日本の女優で座長として、あれだけやっている方は他にいない」と尊敬しており、偉大な伯母への思いは強く、深い。

 今回の「銀二貫」では、父をあだ討ちで亡くし、寒天問屋へ奉公に出される主人公・松吉を演じる。この日は、寒天職人役の胡蝶英治(33)とともに、寒天の作り方を学び、伝統の技に感心しきりだった。

 胡蝶が「技を先輩から後輩へ伝えていくのは、新喜劇と同じ」と言えば、扇治郎も「まさに!」と同意。扇治郎は「僕たちもすごい先輩方がいたから、今、すごい方々が残したものを引き継いでいる。あらためて、おじいさんはすごい方やったんやなと思います」としんみり語っていた。