「王将」「風雪ながれ旅」などのヒット曲で戦後の歌謡史を彩り、16日に心不全で死去した作曲家船村徹さん(享年84)の通夜が22日、東京・護国寺で営まれ、弟子の北島三郎(80)ら歌手、音楽関係者ら約1500人が参列した。

 祭壇は故郷栃木を象徴する日光の山々が白い雪をかぶった雄大な姿と花畑をイメージし、2万8000本以上の花で飾った。5500曲以上を作曲、生涯現役を貫いた船村さんらしく、愛用のギターが遺影の脇に置かれ、葉巻や日本酒、遺作「都会のカラス」の直筆譜面も飾られた。棺(ひつぎ)にも葉巻、日本酒を入れ、鉛筆や五線紙も添えた。

 「この人がいなければ、今の私はいなかった」と言い切る北島は、棺に手紙を入れた。「出会いからの感謝の思いを書きました。別れというのはつらく悲しく寂しい。でも私は生まれ変わっても、あなたの弟子になりたい」と涙ながらに語った。今日23日の告別式には参列せず秋田でステージに立つ。「仕事ですから。師匠も『ちゃんとやれ』と望んでいるはずです」。

 戒名は「鳳楽院酣絃徹謠大居士」(ほうらくいんかんげんてつようだいこじ)。酒を飲んで音楽や楽器を楽しむ音楽の天子という意味だという。【松本久】