13年9月にアニメーション映画長編製作からの引退を発表した宮崎駿監督(76)が、新作長編の準備に入ったことを、スタジオジブリの鈴木敏夫プロデューサー(68)が23日(日本時間24日)、米国のイベントで明らかにした。事実上の引退撤回とみられる。

 イベントは今月26日(同27日)発表の米アカデミー賞に向けたもので、アニメ部門ノミネートの監督やプロデューサーが登壇。長編アニメ部門にジブリ製作の「レッドタートル ある島の物語」(マイケル・デュドク・ドゥ・ビット監督)がノミネートされている。

 鈴木氏は、昨年7月に宮崎監督から企画書を渡されたことを明かした。さらに年末に20分の絵コンテを読んだとし、鈴木氏は「おもしろいかどうか判断してくれと言われ、去年の暮れに読みました。すごく悩んだんです。『おもしろい』と言えば、僕の老後がなくなってしまう。でも心を鬼にして『おもしろい』と言いました。(宮崎監督は)今も一生懸命、東京で作っています」と話した。

 鈴木氏は、宮崎監督が「レッドタートル-」の製作をかなり気にしていたと明かした。オスカー候補作が刺激になった可能性もある。さらに鈴木氏は「ジブリで、自分以外の人が作品を作るのが嫌だったんでしょうね」と苦笑いした。

 昨年NHKで放送された、宮崎監督の密着ドキュメンタリー番組でも長編製作を示唆する場面があった。宮崎監督が書いたスケジュールには19年完成を目指すとあり、「すべて手書きで」のメモ書きもあった。

 スタジオジブリは、タイトルや公開時期などは未定としたが、番組で示唆された長編製作と「重なる部分はある」と話しており、19年完成を目指しているとみられる。

 宮崎監督は引退発表後は、三鷹の森ジブリ美術館で上映する短編アニメ「毛虫のボロ」を、初めてCGを使って制作していた。

<宮崎駿監督の長編全作品>

 公開年月 タイトル 興収

 79・12 ルパン三世~カリオストロの城~ 7

 84・3 風の谷のナウシカ 14

 86・8 天空の城ラピュタ 12

 88・4 となりのトトロ 12

 89・7 魔女の宅急便 43

 92・7 紅の豚 56

 97・7 もののけ姫 193

 01・7 千と千尋の神隠し 304

 04・11 ハウルの動く城 196

 08・7 崖の上のポニョ 155

 13・7 風立ちぬ 80

 【注】興収は億円