東京都小金井市で昨年5月、歌手活動をしていた冨田真由さん(21)が刺されて重傷を負った事件を受け、テリー伊藤らが再犯防止のための法整備の必要性を訴えた。

 殺人未遂などに問われた無職岩埼友宏被告(28)は、事件後の検察の取り調べには「冨田さんを殺害することを考えてナイフを購入した」「冨田さんの態度によっては殺そうと思っていた」「首が急所だから、最初に首を狙った。手加減しなかった」などと話していたが、22日に東京地裁立川支部(阿部浩巳裁判長)に行われた裁判員裁判の被告人質問で、殺意を否定した。また、23日の第4回公判では、冨田さんが「犯人は心の中で笑っていて、反省なんて1つもしていない。犯人はまた絶対同じことをする」と意見陳述をしていたところ、岩埼被告が突然「じゃあ殺せよ」と怒鳴り声をあげ、退廷を命じられた。

 26日放送のTBS系「サンデー・ジャポン」はこの話題を取り上げ、元衆院議員でタレントの杉村太蔵は冨田さんの母が「殺人事件だと思っています」と語ったことについて「よくわかります」とうなずき、「歌うこともできない、思ったような活動もできない、自分の娘の夢を完全にうばったわけですよ。これは殺人事件に等しい。そういう憤りを覚える親の気持ちが本当にわかる」と語った。

 また医学博士の奥仲哲弥氏は、冨田さんが意見陳述のため出廷したことについて「精神的な回復ができていない状態で、さらに大量出血のあとの小さな脳梗塞を発症されて、そのための機能障害ものこってらっしゃると思う。そういう状態で法廷に出てくるっていうことは、むしろ病状を悪化させてしまうという意味では医師としては反対」とした上で、「ですが、それを押してまで行きたいっていうのは、それだけ彼女は犯人を厳罰にしたいっていう気持ちが強いんでしょうね」と推し量った。

 テリー伊藤は「彼(岩埼被告)はこれから10年か15年かわかりませんけど、ずっと冨田さんのことを思ってる」と推測。「これが一番、冨田さんからするとたまったもんじゃない。冨田さん言ってましたよね、『私のことを笑ってる。私のことを殺そうと思ってる』。それを思いながら居るっていう冨田さんの気持ち」と、おびえて暮らさなければならない冨田さんの胸中を推し量り、「法律が遅いんですよ。早くしないと」と訴えた。