最優秀アニメーション賞は、「この世界の片隅に」が受賞した。

 片渕須直監督(56)は「6年以上かかって作った映画なんですが、諦めないで良かったです。(製作総指揮の)丸山正雄プロデューサーが「もう少し続けよう」と言ってくれたからで、途中で終わっていたら、みなさん心に、かわいいすずさんという主婦はいなかった。ここに立っているのは、皆さんの支えです」と感激で声を震わせた。

 「この世界の片隅に」は、広島県呉市を舞台に、戦時下の不安定な時代の中、18歳で嫁いだ絵が得意な女性すずが、大切なものを失ってもけなげに、まっすぐ生きる姿を描いた感動の物語。製作費を出資する企業を集めるための、パイロットフィルム制作を目的に、クラウドファンディングで一般から出資を募り、約3900万円を集めたインディーズ作品で、初週の公開館数も63館だった。それが口コミを中心に空前の大ヒットを続け、興行収入は約22億円、動員は170万人を突破した。【村上幸将】