2017年のアカデミー賞主演女優賞を獲得した『ラ・ラ・ランド』(日本公開中)のエマ・ストーン(28)。現在最も人気な女優の一人と言える彼女だが、オスカー女優になるまでの道のりは決して楽ではなかったようだ。

 1988年、アメリカのアリゾナ州で生まれたエマ(本名エミリー)。地元の劇団に所属していたが、14歳の時に学校の授業中、ロサンゼルスに行かなければならないと急に気づいたのだそう。帰宅後、“プロジェクト・ハリウッド”と題したパワーポイントを作成して両親にプレゼン。両親を見事説得したエマは、会社を経営していた父親を残し、母親と二人でロスに引っ越すことに。両親のサポートの背景には、エマが小さい頃から不安発作を抱えていて、演技を通して人を笑わせることが不安の解消につながっていたことがあったようだ。

 オーディションを繰り返し、小さい役は得ることができたものの俳優として生計を立てることはできず、アルバイトで稼いだエマ。犬用ビスケットを作るバイトをしていた時期もあったが、ついに2007年、コメディ映画『スーパーバッド 童貞ウォーズ』(07)で注目を浴びる。この映画のためにブロンドのエマは初めて髪を赤く染め、そのイメージが定着した。

 しかし、その後たくさんのオファーが来るようになり、『小悪魔はなぜモテる?!』(10)の主演で完全に“セレブリティ”となったエマはハリウッドの生活に圧倒されてしまい、いったんハリウッドを離れてニューヨークに引っ越すことに。エマは東海岸で少し落ち着いた生活を送りつつ、『アメイジング・スパイダーマン』シリーズ(12~14)でさらに人気を集めた。『バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)』(14)ではアカデミー賞助演女優賞にノミネート。

 そして26歳の時、エマはミュージカル「キャバレー」でブロードウェイ・デビューを果たす。これが『ラ・ラ・ランド』のデイミアン・チャゼル監督の目にとまり、運命の役につながることに。実は監督にミア役を頼まれた当初はあまり乗り気ではなかったと言う。映画の音楽を聴いたこと、『ラブ・アゲイン』で共演したライアン・ゴズリングと再び共演できることが後押しとなり、承諾したのだそう。

 今後は、『101匹のわんちゃん』の悪役クルエラ・デ・ビルを中心に描くディズニー実写版映画に主演することが決定している。この役でエマの美声を再び聴けるのではと期待しているファンも多いだろう。

 オーディションを繰り返し、成功を夢見るという『ラ・ラ・ランド』で演じたミアとまさに同じ道をたどったエマ。不安発作を抱え、それを克服するものとして演技を続けた彼女がアカデミー賞を受賞したことは非常に喜ばしい。これからも観客を笑わせ、泣かせる女優として活躍するだろう。【ハリウッドニュース編集部】