助演男優賞を受賞した大塚芳忠は、声優として40年以上のキャリアを重ねた自身を「若輩者」と言い切る“謙虚すぎるスピーチ”で、会場の若手声優たちを恐縮させた。

 このたびは、このような栄えある賞に選んでいただきまして、まことにありがとうございます。まぁ…大体、晴れの舞台に一生、縁のない人間だと思っていましたので、ただただ驚いて、感激しております。この業界には、たくさんの先輩方が、まだまだ現役で活躍なさっています。今日、ここに来てみて…つくづく、先輩にはかなわないな、すごいな、そして俺なんか、まだまだ若輩者だと本当に思い知らされました。まだ若輩者と言えるほどの人間ですけど、曲がりなりにも40年、この仕事をやらせていただいて…今日は40年、続けたことへのご褒美かなと、自分を褒めてやりたい気持ちです。

 大塚は今回、「亜人」の佐藤役、「デュラララ!!×2結」の四木春也役などの演技で受賞したが、これまでにジャン・クロード・バンダムや米ドラマ「フルハウス」のダニエルを演じたボブ・サゲットなどの吹き替えや、日本テレビ系「真相報道バンキシャ!」のナレーションなどでも知られる、大ベテラン声優だ。

 ただ、この日は「ルパン三世」の次元大介役で知られる小林清志、「鉄腕アトム」を演じ続けた清水マリ、「忍者ハットリくん」のハットリカンゾウなどを演じた堀絢子が、功労賞を受賞し、先に登壇していた。3人の先輩を前に、大塚はあらためて気を引き締めた思いをスピーチに込めたが、授賞式後には会場スタッフや取材陣も、大塚の“謙虚すぎるスピーチ”に、わが身を省みていた。【村上幸将】