教師を志望する人も減っている。教育の世界に高い志を持って進もうにも、過酷な現実が待っている。

 「教員試験の倍率は、昔の半分くらいになりました。今は、保護者対応が大変。それと、やっぱり上からの管理が、昔と全く違う。昔は校長と教頭が管理職で偉くて、あとは皆平等。今は人事査定とかで評価・ランク付けされるから大変なんですよ」

 世界標準、競争主義脱却が言われる中、「個に寄り添う教育」の必要性を訴える。

 「国際的にいえば、それが常識。インクルーシブ教育といいますけども、子どもが100人いたら、100通りのアプローチがある。それぞれに応じた個別的な教育があるのに、日本では、一斉教育を強化している」

 それでも教育者として、日本の若者たちに期待することは大きい。昨年6月に選挙権が、20歳から18歳に引き下げられた。

 「やっぱり、すっかり変わったっていう気がしますね。責任感と自覚っていうんですかね。大人として社会参加する意識が変わりました。変わりましたねえ。やっぱり、投票に行かなきゃいけないんだとなると、しっかり考える。家庭でも親の世代と政治や選挙について、議論したりするようになる。本当は20年前に実現してなくちゃいけなかったんですけどね」

 09年12月30日に放送されたフジテレビ系「さんま・福澤のホンマでっか!?ニュース」に出演して人生が変わった。

 「(明石家)さんまさんから『あんた飲み屋のママに似てる』と言われて、『ママ、ママ』って呼びだしたの。『違うよぉ~』って言ったら、余計におネエっぽく映ったみたい(笑い)」

 「尾木ママ」でも「尾木先生」でもOK。教壇に立たなくなっても、教育に掛ける情熱は変わらない。

【小谷野俊哉】