杉良太郎(72)が28日、自身の「守り本尊」として40年近くも所有していた甲冑(かっちゅう)2体を静岡・掛川市に寄贈した。

 2体は元掛川城主の松平忠喬(1683~1756年)と太田資俊(1720~1763年)の持ち物。「時代劇俳優としてのシンボルがほしい」と願っていた杉が、最初に手に入れたのが太田の紺色甲冑だった。「自宅に飾ると、その日を境に空気が重たく『ゾクッ』とした。3年後に松平の赤い甲冑を知人からいただいて横に並べると、不思議なことに重苦しい空気が晴れて、すがすがしい空気に一変した」という。

 調べると2人とも掛川城主だったことが判明。同じ城に勤めた大名が、約300年の時を経て杉の自宅にたどり着いた。「2人が生前、直接会っていたかは今となっては分からない。でもこの出会いは偶然というより奇跡だと思うんだ」。

 この日の贈呈式で杉は「守り本尊として手を合わせていた2人との別れは寂しいし身を切られる思い。でも、将来を考えると、ゆかりの地で掛川の平和を見守ってほしい」と寄贈した理由を話した。松井三郎市長(72)も「当時を知る貴重な資料で、実在した城主の形見としても価値がある」と感謝した。2体は、かつて君臨した掛川城の御殿に展示される。【松本久】