タレント、俳優として活躍した愛川欽也さん(享年80)の三回忌イベントが4月9日、相模原市で営まれる。代表作の映画「トラック野郎」シリーズにちなみ全国から約500台の「デコトラ」が集結するなど、故人らしいにぎやかな催しとなる。共演者の故・菅原文太さん(享年81)の文子夫人も参加して、愛川さん夫人のうつみ宮土理(73)と初対面を果たすことになった。

 70年代後半、「トラック野郎」は「男はつらいよ」と並ぶ国民的な人気映画シリーズだった。コンビを組んだ文太さんが14年11月に亡くなると、半年もたたない翌年4月、後を追うように愛川さんが逝った。

 シリーズは長距離トラック運転手を主人公にしたアクション・コメディー。相棒2人の好演に加え、電飾やペイントを施したアートトラック(デコトラ)を全国に広めるきっかけにもなった。

 米人気ドラマ「ルート66」の吹き替えを担当した愛川さんが「日本でもロードムービーを」という思いにかられ、情報番組の共演で意気投合した文太さんとともに東映に企画を持ち込んだのがきっかけだった。仕事への情熱で結ばれていた2人だが、意外にも、夫人同士はこれまでゆっくりと言葉を交わす機会がなかった。

 今回のイベントを呼びかけたのは、シリーズ全作品に愛車とともに出演したトラック運転手、宮崎靖雄氏。シリーズ当時はデコトラ愛好会「歌麿会」の会長も務め、愛川さんと文太さんへの思いも人一倍強かった。今回は全国から約500台ものデコトラを招集。そんな思いを受けて、文太さんの文子夫人も参加を決意したという。

 圏央道の相模原愛川インターチェンジ付近で行われるイベントには、シリーズに出演経験のある長距離トラッカーが多数参加するほか、せんだみつお(69)らレギュラー陣も出席し、故人をしのぶ。闘病中も最後まで現場復帰を目指し、にぎやかな場が大好きだった愛川さんにふさわしい催しになりそうだ。

 ◆愛川欽也(あいかわ・きんや)本名・井川敏明(いがわ・としあき)。1934年(昭9)6月25日、東京生まれ。県立浦和高在学中に演劇にのめり込み、声優、ラジオDJとして人気に。テレビ東京系「出没!アド街ック天国」は亡くなる直前まで司会。放送1000回を記録。

 ◆菅原文太(すがわら・ぶんた)1933年(昭8)8月16日、宮城県生まれ。モデルを経て映画「まむしの兄弟」シリーズなどで注目される。73年スタート「仁義なき戦い」シリーズで東映を代表する俳優となった。晩年は「ふるさと回帰支援」などに尽力した。

 ▼トラック野郎 75~79年、鈴木則文監督によって全10作が製作された。主人公は一番星こと星桃次郎(菅原文太)と、やもめのジョナサンこと松下金造(愛川欽也)。桃次郎がひと目ぼれする回替わりのマドンナと、ワッパ勝負(トラック運転の勝負)が見どころだった。初期作品は成人向けの「下ネタ」が少なくなかったが、若年層のファンが増えるに従ってファミリー色を強め、プラモデルなどの玩具も発売される人気シリーズとなった。