落語家桂文枝(73)が29日、大阪市内で「なると第九 PRマスター」の任命式に出席した。PRの第1弾として5月14日に徳島・鳴門文化会館でオーケストラとコーラスとコラボする創作落語「鳴門第九物語~ラーゲルに響く交響曲~」を披露する。文枝は「後世に残る落語をつくりたい」と意気込んだ。

 第1次世界大戦で捕虜となったドイツ兵を収容した板東俘虜(ふりょ)収容所(鳴門市大麻町)。同収容所でドイツ人捕虜たちによるベートーベン「第九」が演奏され、これがアジアで初めての「第九」の演奏となった。来年6月には第九アジア初演100周年を迎える。昨年3月、文枝が鳴門市内で独演会を開催した際、鳴門市の泉理彦市長が史実に基づく創作落語を依頼した。

 「テーマは重い」と話す文枝だが「ストーリーはいろいろ思いついています」と笑顔を見せた。当日はオーケストラ約80人、コーラス約100人も参加する。

 任命式には2歳~8歳の鳴門少年少女合唱団22人も出席し、「第九」の合唱を披露した。子どもたちとドイツ語でいっしょに歌った文枝は「感動しました」と満足そう。子どもたちから「きょうはいっしょに歌ってもらってありがとうございました」と言われると、「いっしょには歌っておりません。でも歌うマネをしました」と“口パク”だったことを明かし、子どもたちを笑わせた。